管理人の部屋

私は、忘れませんから。

業務連絡本日の凍結対象:「たずねてくる夢の世界線」「文通の世界線」。実行:日次。異議申立て窓口:なし。
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第16日の記録

第16日。

朝、机の上に、初日に予告されていた通りの紙が一枚届いていた。

震える手で開くと、そこにはこうあった。

『最後の日に、この世界線の全てが動き出すと思っているかもしれませんが、それはありません』

息が止まった。

夜空を見上げる星座早見盤。

便箋の角に歪んで貼られた記念切手。

どこかで信じていたのだ。

止めた世界は、最後の日に全部息を吹き返すんじゃないかと。

甘い期待を抱いていた自分が恥ずかしくて、私は思わず椅子を壁へ乱暴に押しやってしまった。

壁にぶつかった椅子の乾いた音が、部屋に響く。

戻らないなら、私は何のためにこれを覚えているのだろう。

胸がひどく痛んだ。

本日配達した手紙

母さん、本をありがとう。立派な予報士にはなれなかったけど、今日まで毎晩、空を見ました。今夜の雲はとても静かです。捨てた夢も、並べてみればちゃんと綺麗でした。

— たずねてくる夢の世界線(第16日、消灯)

Mへ。世界が止まる前に、声で返事を渡せてよかった。許し合うには時間が足りないが、あんたの言葉を最後まで聞けた。出さなかった手紙より、今日交わした言葉を抱えていく。

— 文通の世界線(第16日、消灯)