『詩語法』の原典

Skáldskaparmál

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古ノルド語の原文から、英訳を参考にAIが作成した日本語訳です。

1

エーギル、またはフレールと呼ばれる者がいた。今ではフレーセイと呼ばれる島に住んでいた。魔術にたいそう長けていた。あるときアースガルズへ旅をしたが、アース神族はその来訪を前もって知っていたので、手厚く迎えた。ただし、そこでは幻術によって作り出されたものも多かった。

夕方になり、酒宴を始めるころになると、オーディンは広間に剣を運び込ませた。その剣はあたりを照らすほど明るく輝き、酒宴のあいだ、ほかの明かりはいっさい使われなかった。アース神族は宴の席に着き、裁きを担う十二柱の神々が高座に座った。その名は、トール、ニョルズ、フレイ、テュール、ヘイムダル、ブラギ、ヴィーザル、ヴァーリ、ウル、ヘーニル、フォルセティ、ロキである。女神たちも同じく席に着いた。フリッグ、フレイヤ、ゲフィユン、イズン、ゲルズ、シギュン、フッラ、ナンナである。

エーギルには、目に映るものがみな壮麗に思われた。壁の羽目板は、どこも美しい盾で飾られていた。そこには酔いの強い蜜酒もあり、皆おおいに飲んだ。エーギルのすぐ隣にはブラギが座り、二人は酒を酌み交わして語り合った。ブラギは、アース神族の身に起きたさまざまな出来事をエーギルに語った。

2

ブラギはまず、アース神族の三柱、オーディンとロキとヘーニルが住まいを発ち、山々や荒野を旅した話から始めた。食べ物はなかなか手に入らなかった。ある谷へ下りてくると、牛の群れが目に入ったので、一頭の雄牛を捕らえ、蒸し焼きにかかった。もう火が通っただろうと思い、蒸し焼きの穴を開けてみたが、肉は煮えていなかった。しばらく待ってもう一度開けてみても、やはり煮えていなかった。三柱は、いったいどういうわけだろうと話し合った。

すると、頭上の樫の木から声が聞こえた。そこにいる者が、蒸し焼きの肉が煮えないのは自分の仕業だと言う。見上げると、一羽の鷲が止まっていた。並外れて大きな鷲だった。鷲は言った。

「その雄牛を腹いっぱい食わせてくれるなら、肉が煮えるようにしてやろう」

三柱は承知した。すると鷲は木から舞い下り、蒸し焼きの穴の上に降りて、真っ先に雄牛の両腿と両肩を取り上げた。ロキは腹を立て、太い棒をつかむと、力いっぱい振り上げて鷲の胴を打った。鷲は打たれるなり飛び立った。すると棒は鷲の背中にくっつき、ロキの両手は棒のもう一方の端にくっついてしまった。

鷲は飛び、ロキの足は岩や岩くずや木々にぶつかった。両腕は肩から引き抜かれそうに思われた。ロキは叫び、どうか勘弁してくれと必死に鷲に頼んだ。だが鷲は、イズンをリンゴもろともアースガルズの外へ連れ出すと誓わないかぎり、決して放してやらぬと言った。ロキは承知した。そこでようやく放され、仲間のもとに戻った。その後、三柱が帰り着くまでの旅については、ここではこれ以上語られない。

約束の時になると、ロキはイズンを誘い出し、アースガルズの外のある森へ連れていった。見事なものだと彼女も思うに違いないリンゴを見つけたと言い、自分のリンゴを持ってきて、それと比べてみるように頼んだ。すると巨人シャツィが鷲の姿で現れ、イズンをさらい、自分の住まいのあるスリュムヘイムへ飛び去った。

3

イズンが姿を消したので、アース神族はひどく困り、たちまち髪が白くなって老い始めた。そこで集会を開き、イズンを最後に見たのはいつかと互いに尋ね合った。すると、最後に目撃されたのは、ロキとともにアースガルズから出ていく姿だった。ロキは捕らえられて集会へ引き出され、殺すか拷問にかけるかすると脅された。恐ろしくなったロキは、フレイヤが持っている隼の羽衣を貸してくれるなら、ヨトゥンヘイムへイズンを捜しにいくと言った。

隼の羽衣を手に入れると、ロキは北のヨトゥンヘイムへ飛び、ある日、巨人シャツィの住まいに着いた。シャツィは舟で海へ出ており、イズンだけが家にいた。ロキは彼女を木の実の姿に変え、鉤爪でつかんで、全速力で飛び去った。シャツィは帰宅してイズンがいないことに気づくと、鷲の羽衣をまとってロキを追った。その飛翔は激しい風を巻き起こした。

アース神族は、木の実を運ぶ隼と、そのあとを飛ぶ鷲を見つけると、アースガルズの城壁の外へ出て、鉋くずの束を運んできた。隼は城壁を越えて飛び込むと、壁際へ舞い下りた。そこでアース神族は鉋くずに火をつけた。隼を見失った鷲は勢いを止められず、その羽毛に火が燃え移り、飛べなくなった。アース神族はすぐそばにいて、神々の門の内側で巨人シャツィを討ち取った。これはたいそう名高い殺害である。

巨人シャツィの娘スカジは、兜と鎖帷子を身につけ、あらゆる武器を携えて、父の仇を討つためにアースガルズへ向かった。だがアース神族は、和解と償いを申し出た。まず、神々のなかから夫を選んでよいとした。ただし足だけを見て選び、それ以外は何も見てはならなかった。スカジはひときわ美しい足をした者を見つけ、言った。

「この者を選ぶ。バルドルなら、醜いところなどほとんどあるまい」

だが、それはノーアトゥーンのニョルズだった。

スカジは和解の条件に、神々にはできるはずがないと思っていたことも加えていた。自分を笑わせることである。そこでロキは、一方の端を雌山羊の顎ひげに、もう一方の端を自分の睾丸に結びつけた。両者は引っ張り合っては交互に引きずられ、どちらも大声で悲鳴を上げた。やがてロキがスカジの膝に倒れ込むと、彼女は笑った。こうしてアース神族とスカジの和解が成立した。

4

オーディンはスカジへのさらなる償いとして、シャツィの両眼を取り、天へ投げ上げて二つの星にしたという。

そこでエーギルが言った。

「シャツィはたいそう力のある者だったようだな。いったいどのような家柄の者だったのか」

ブラギは答えた。

「父親はエルヴァルディといった。その話を聞けば、おまえも驚くことだろう。彼は途方もない量の黄金を持っていた。死後、息子たちが遺産を分けることになったとき、黄金を量るのにこういう方法を用いた。それぞれが口いっぱいに取り、皆が同じ回数だけ取ることにしたのだ。息子の一人はシャツィ、二人目はイジ、三人目はガングといった。それで今も我々のあいだには、黄金をこの巨人たちの『口による数え分け』と呼ぶ言い方がある。だが我々は、謎めいた言葉や詩のなかでは意味を隠し、これをこの巨人たちの『話』や『言葉』や『語らい』と呼ぶのだ」

エーギルは言った。

「それはうまく謎に包んだものだと思う」

5

エーギルはさらに言った。

「おまえたちが詩作と呼んでいる技は、そもそもどこから生まれたのか」

ブラギは答えた。

「その起こりはこうだ。神々は、ヴァン神族と呼ばれる一族と争っていた。だが、双方で和平の会談を開き、次のようにして休戦の約束を結んだ。双方が一つの器に歩み寄り、そのなかに唾を吐いたのだ。別れるとき、神々はこの和平のしるしを失わせまいと、それを取って、一人の男を造った。その名はクヴァシルという。たいそう賢く、どんなことを尋ねられても答えられないことはなかった。

クヴァシルは世界を広く巡り、人々に知識を教えた。あるとき、フィャラルとガラルという二人の小人の招きを受けて、その家を訪れた。二人は内々に話があると彼を呼び寄せて殺し、その血を二つの器と一つの釜に流し入れた。釜はオーズレリル、器はソーンとボズンという。二人は血に蜂蜜を混ぜ、そこから、飲んだ者は誰でも詩人か学者になるという蜜酒ができた。小人たちはアース神族に、クヴァシルは知恵に息を詰まらせて死んだ、彼から知識を引き出せるほど賢く問いかけられる者がいなかったからだ、と言った。

その後、この小人たちはギッリングという巨人とその妻を家に招いた。小人たちはギッリングを誘い、一緒に舟で海へ出た。岸沿いに漕いでいると、小人たちは暗礁に舟を乗り上げさせ、転覆させた。ギッリングは泳げず、命を落とした。小人たちは舟を起こし、岸へ漕ぎ戻った。

夫の妻にこの出来事を告げると、彼女はひどく悲しみ、声を上げて泣いた。フィャラルは、夫が死んだ海を眺めたら少しは気が晴れるかと尋ねた。彼女はそうしたいと言った。そこでフィャラルは弟のガラルに、彼女が外へ出るときに戸口の上へ登り、その頭に挽き臼の石を落とすようにと言った。泣き声にはうんざりだというのだった。ガラルはそのとおりにした。

ギッリングの息子である巨人スットゥングは、これを聞くと駆けつけ、小人たちを捕らえて沖へ運び、満潮には水没する岩礁に置き去りにした。二人はスットゥングに命乞いをし、父を殺した償いとして、あの貴い蜜酒を差し出すと申し出た。これによって双方の和解が成立した。スットゥングは蜜酒を家に持ち帰り、フニトビョルグというところに隠して、娘のグンロズを番につけた。

こうしたことから、我々は詩作を『クヴァシルの血』、『小人の飲み物』または『小人を満たすもの』と呼び、あるいは『オーズレリルの液』、『ボズンの液』、『ソーンの液』などと呼ぶ。また『小人の舟賃』とも呼ぶ。あの蜜酒によって小人たちは命を救われ、岩礁を離れることができたからだ。あるいは『スットゥングの蜜酒』、『フニトビョルグの液』ともいう」

エーギルは言った。

「そうした名で詩作を呼ぶとは、ずいぶん意味のつかみにくい言い方だと思う。だが、おまえたちアース神族は、どうやってスットゥングの蜜酒を手に入れたのか」

6

ブラギは答えた。

「それにはこういう話がある。オーディンは住まいを発ち、九人の奴隷が草を刈っているところに来た。大鎌を研いでやろうかと尋ねると、奴隷たちは承知した。そこで帯から砥石を取り出し、大鎌を研いでやった。奴隷たちは、大鎌の切れ味がずっとよくなったと思い、その砥石を売ってくれと頼んだ。オーディンは値をつけ、買いたい者は相応の代価を払うようにと言った。皆が買いたいと言い、自分に売ってくれと頼んだが、オーディンは砥石を空中へ放り上げた。皆がそれをつかもうとして争い、それぞれがほかの者の首へ大鎌を振るった。

オーディンは一夜の宿を求め、スットゥングの兄弟で、バウギという巨人のもとを訪れた。バウギは、自分の所帯はひどいありさまだと嘆き、九人の奴隷が殺し合って死んでしまい、働き手を得るあてもないと語った。オーディンは、バウギにボルヴェルクと名乗った。そして九人分の仕事を引き受けると申し出て、その報酬にスットゥングの蜜酒を一口求めた。バウギは、蜜酒のことを決める権利は自分には何もなく、スットゥングが独り占めしたがっているのだと言った。それでもボルヴェルクと一緒に出向き、蜜酒が手に入るかどうか試してみようと約束した。

ボルヴェルクは夏のあいだ、バウギのために九人分の仕事をした。冬になると、バウギに報酬を求めた。そこで二人はスットゥングのもとへ行った。バウギは兄弟のスットゥングに、ボルヴェルクと交わした取り決めを話した。だがスットゥングは、蜜酒は一滴たりともやらぬときっぱり断った。そこでボルヴェルクはバウギに、何か策略を試して蜜酒を手に入れられないかと言った。バウギも賛成した。

ボルヴェルクはラティという錐を取り出し、この錐が通るなら、バウギに岩を穿つようにと言った。バウギはそのとおりにした。やがて岩を穿ち通したと言ったが、ボルヴェルクが錐の穴へ息を吹き込むと、削りくずがこちらへ吹き返してきた。それでバウギが自分を欺こうとしていると気づき、岩を向こうまで穿ち通すように命じた。バウギはさらに穴を開け、ボルヴェルクが二度目に息を吹き込むと、削りくずは奥へ飛んでいった。そこでボルヴェルクは蛇の姿に変わり、錐の穴へ這い込んだ。バウギはそのあとを錐で突いたが、当たらなかった。

ボルヴェルクはグンロズのいるところまで行き、彼女と三夜をともに寝た。すると彼女は、蜜酒を三口飲むことを許した。最初の一口でオーズレリルを飲み干し、二口目でボズンを、三口目でソーンを飲み干した。こうして蜜酒をすべて手に入れた。

それから鷲の姿に変わり、全速力で飛び去った。スットゥングはその鷲が飛ぶのを見ると、自らも鷲の羽衣をまとい、あとを追った。アース神族はオーディンが飛んでくるのを見つけ、庭に器を並べた。オーディンはアースガルズの上へ飛び込むと、蜜酒を器のなかへ吐き出した。だがスットゥングが捕らえかねないほど近くに迫っていたので、蜜酒の一部を尻から出してしまった。そちらは何の用心もされず、欲しい者は誰でも手に入れた。我々はこれを『愚かな詩人どもの取り分』と呼んでいる。

だが、スットゥングの蜜酒を、オーディンはアース神族と詩を作る才のある人間たちに与えた。そのため我々は、詩作を『オーディンの獲物』、『オーディンの得たもの』、『オーディンの飲み物』、『オーディンの贈り物』、また『アース神族の飲み物』と呼ぶのだ」

7

そこでエーギルが言った。「お前たちは詩の言い回しを、どれほど多くの仕方で変えるのか。そもそも、詩にはいくつの部門があるのか」

ブラギが言った。「あらゆる詩を分ける部門は二つある」

エーギルが尋ねた。「どの二つだ」

ブラギが答えた。「言葉と韻律だ」

「詩にはどのような言葉遣いを用いるのか」

「詩語には三つの種類がある」

「どのようなものだ」

「一つは、あらゆるものを、そのものの名で呼ぶことだ。第二は、代わりの呼び名と呼ばれるものだ。第三の言い方はケニングと呼ばれる。この言い方は、オーディン、トール、テュール、あるいはアース神族や妖精の誰かの名を挙げ、それぞれの名に、別のアース神の持ち物を示す語を添えるか、その神の行いの何かに言及するという仕組みになっている。そうすると、その呼び名は、名を挙げられた神ではなく、その持ち物や行いの主である神に属することになる。たとえば、勝利のテュール、縊られた者たちのテュール、荷のテュールと言えば、それらはオーディンの呼び名となり、このようなものをケニングによる呼び名という。車のテュールと呼ぶのも同じことだ」

8

さて、詩語を学び、古い呼び名を身につけて言葉を豊かにしたいと願う若い詩人、あるいは隠された言葉で詠まれたものを理解できるようになりたいと願う者には、次のように言っておく。そのような者は、知識と楽しみを得るために、この書を読み解くとよい。しかし、これらの物語を忘れたり、偽りとして退けたりするあまり、優れた詩人たちが好んで用いた古いケニングを、詩から取り除いてはならない。ただしキリスト教徒は、異教の神々を信じてはならず、これらの物語の真実についても、この書の初めに述べたとおりの意味で受け取るべきである。

9

さて、優れた詩人たちが、これらの呼び名やケニングによって詩を作ることを、いかにふさわしいと考えていたか、その実例を聞かせよう。伯の詩人アルノールは、オーディンをアルフォズルと呼び、こう詠んでいる。

いまこそ、気丈な伯の美徳を
語ろうと思う。ようやく苦しみも和らぐ。
アルフォズルの麦芽の海が轟く、
人々に向けて。

ここで彼はまた、詩をアルフォズルの麦芽の海と呼んでいる。足の不自由なハーヴァルズは、こう詠んだ。

いま、海の馬の樹々のために、
鷲は塚の上を飛んだ。
思うに、その鷲は招きに応じるのだ、
縊られた者たちの神の野から来て。

ヴィーガ・グルームは、こう詠んだ。

縊られた者たちのテュールの帽子をかぶった軍勢は、
丘を目指して進むのをためらった。
彼らには、身を危険にさらすことが
好ましく思えなかった。

レヴは、こう詠んだ。

船首の大地の稲妻のバルドルは、
いまや詩人を残して倒れたが、しばしば
鴉のアースの聖なる杯を携え、
親しく私を訪ねてきた。

詩人殺しのエイヴィンドは、こう詠んだ。

そしてシグルズを、
荷のテュールに属する
ハッディングたちの戦死者の白鳥に
鴉のビールを振る舞っていた者を、
その荷のテュールの人を、
命から引き離した、
国を治める者たちは、
エグローイで。

グルーム・ゲイラソンは、こう詠んだ。

そこには、兜の風を
人々の神々が導くところ、
アタルの獣の攻め手のうちに、
勝利のテュール自身がいた。

エイヴィンドは、またこう詠んだ。

ゴンドゥルとスコグルを
ガウトたちのテュールは遣わした、
王たちの中から選ぶために、
イングヴィの一族の誰が
オーディンのもとへ行き、
ヴァルハラに住まうべきかを。

ウールヴ・ウッガソンは、こう詠んだ。

世に名高いフロフトのテュールが馬で向かう、
息子の大きく広がる火葬の薪へ。
私の口を通って流れ出る、
誉れの言葉が。

フヴィン出身のショーゾールヴは、こう詠んだ。

そこには戦死者が砂の上に横たわっていた、
片目の神、フリッグの抱擁に住まう者に
捧げられて。
我らはそのような武勲を喜んだ。

ハッルフレズは、こう詠んだ。

剣の馬を受け取る勇敢な者は、
真実の言葉によって、自らの下に引き寄せる、
大麦の髪を持つ、
スリジの待ちわびる妻を。

これは、詩において大地がオーディンの妻と呼ばれる例である。ここでは、エイヴィンドがこう詠んだと伝えられている。

「ヘルモーズとブラギよ」
とフロフトのテュールは言った。
「君主を迎えに行け。
王が来る、
勇者と認められる者が、
こちらの館へと」

コルマクは、こう詠んだ。

神々のフィヨルドを変える者に、土地を得た者が
額の布を贈って富を増す。
その女は、まっすぐな帆桁を
結ぶ。ユッグはリンドを得るため呪術を行った。

ステインソールは、こう詠んだ。

はるか昔に作られたものが私にはある、
グンロズの腕の荷たる、満足することのない者の
角杯の滝が。褒めるべきものではあるが、
その量はわずかだ。

ウールヴ・ウッガソンは、こう詠んだ。

そこでは、賢い勝利の樹に付き従うと思う、
聖なる供犠の獣の血を飲むワルキューレたちと、
鴉たちが。
そうした思い出が館の内を飾る。

エギル・スカッラグリームソンは、こう詠んだ。

私がヴィリの兄を、
神々の守り手を、
祀るのは、
喜んでそうしたいからではない。
だがミーミルの友は
私に与えてくれた、
災いを償うものを。
それこそ、よりよいものと私は思う。
戦いに慣れた
狼の敵は、
瑕のない技を
私に授けてくれた。

ここでは、オーディンは神々の守り手、ミーミルの友、狼の敵と呼ばれている。レヴは、こう詠んだ。

戦死者のガウトよ、勇ましい者よ、我らはお前に
ファルの館への道の飲み物を返すべきだ、
波の鷹の雪を
思いのままに扱う者よ。

椀鳴らしのエイナルは、こう詠んだ。

私は軍勢のテュールの
船の酒舟から汲み出すことになろう。
それゆえ責められるいわれはない、
矢を走らせる者の前に注ぐのだから。

ウールヴ・ウッガソンは、こう詠んだ。

心優しいヘイムダルが馬で向かう、
神々が積み上げた薪の山へ、
鴉を試す、血筋に詳しい者の
倒れた息子のもとへ。

『エイリークの歌』には、こうある。

「これはどのような夢か」とオーディンは言った。
「私は夜明け前に起きたつもりだった、
ヴァルハラを片づけるために、
戦いで倒れた者たちを迎えようと。
エインヘリヤルを起こし、
起き上がるよう命じた、
長椅子に敷物を広げ、
ビールの器をすすぎ、
ワルキューレたちには酒を運ばせた、
王が来るかのように」

コルマクは、こう詠んだ。

若い私は、民の支配者に願う、
私をまったく厚遇してほしいと、
イングヴィの弓の揺れる野の上で。
フロフトはグングニルを携えて進んだ。

ソーラールヴは、こう詠んだ。

フリズスキャールヴの君主は、
自ら思うところを語った、
盾を嫌うハーレクの従者たちが
討たれた、その場所で。

エイヴィンドは、こう詠んだ。

スルトの
深い谷から、
荷に力を与える者が、
飛んで運び出したものを。

ブラギは、こう詠んだ。

私には明らかだ、人々の父の息子が、
早くも力を試そうと望んだことは、
水に濡れた
大地の帯と相手をして。

エイナルは、こう詠んだ。

多くの美徳を備えた者よ、ほとんどの者は
あらゆることで、ベストラの息子にさえ
お前ほど多くはなし得ない。私は戦いの
誉れを詠もうと取りかかった。

混ぜ詩の詩人ソルヴァルドは、こう詠んだ。

いま私は多くのものを
蜜酒の中に刻み込んだ、
ボルの息子、
ブーリの跡継ぎの蜜酒に。

10

ここで、詩人たちが、先に記した呼び名に従って、詩をどのようにケニングで表してきたかを聞こう。すなわち、クヴァシルの血、小人たちの船、小人たちの蜜酒、巨人たちの蜜酒、スットゥングの蜜酒、オーディンの蜜酒、アース神族の蜜酒、巨人たちの父の賠償、オーズレリルとボズンとソーンの液体またはそれらを満たすもの、フニトビョルグの液体、オーディンの獲物、発見、荷、贈り物といった呼び方である。椀鳴らしのエイナルが作った、次の詩のように。

気高い心の土地の守り手に願う、
聞いてくれ、伯よ、クヴァシルの血を、
人々のフィヨルドの骨に溜まった
澱の波を。

椀鳴らしのエイナルは、またこう詠んだ。

戦いの悲しみの囲いのウルを取り巻く、
その槍の一団のすべてに行き渡る、
勇気を強める者を取り巻く一団に、
小人たちの岩の蔵の波が。

オルム・ステインソールソンは、こう詠んだ。

ビールの台と私の亡骸が
一つの広間に運ばれますように。
男たちよ、聞いてくれ、
ドヴァリンの死の飲み物を。

レヴは、こう詠んだ。

石の民の心の畑の宴を
ソルステインに捧げる。
岩のメーリル人たちの波が鳴る。
人々の一族よ、耳を傾けてほしい。

エギルは、こう詠んだ。

王は私を招いてくれた。
そこで私は讃歌を詠む務めを負った。
オーディンの蜜酒を運んできた、
イングランド人の土地へと。

グルーム・ゲイラソンは、こう詠んだ。

聞いてほしい、君主たちよ、
神々に願う者の宴を私は持っている。
それゆえ我らは静粛を求める、
従士たちの喪失を聞いてもらおうと。

エイヴィンドは、こう詠んだ。

静かに聞いてほしい、
ハールの飲み物を。
私がギッリングの
賠償を高く掲げる間、
その一族を、
絞首台の荷の
大釜の液体の中で、
神々にまでさかのぼって数える間。

椀鳴らしのエイナルは、こう詠んだ。

永らえる海の波が王の前で泡立つ。
レグニルの業は私の役に立つ。
オーズレリルの波が轟く、
呪文の岩礁に打ち寄せて。

彼はまた、こう詠んだ。

いま、ボズンの波が、
岩のサクシの波が、満ちようとしている。
君主の民よ、館で静粛の船を
整え、耳を傾けてほしい。

エイリーヴ・グズルーナルソンは、こう詠んだ。

お前たちが友への贈り物を取り計らってほしい。
誉れ高い人物を歌うため、
私のもとでは言葉の種が芽吹くのだから、
ソーンの葦の生える畑に。

ヴェル・ステインは、こう詠んだ。

聞いてくれ、エギルよ、ミーミルの友の、
歓びの岩の流れが私の歯茎の岩礁に
轟くのを。
スンドの見いだしたものが、私には授けられた。

オルム・ステインソールソンは、こう詠んだ。

男たちは私の詩を恐れなくてよい。
ヴィズルの獲物に、嘲りを
私は少しも混ぜない。讃歌を
巧みに作るすべは心得ている。

ウールヴ・ウッガソンは、こう詠んだ。

心朗らかなオーラーヴに、
ヒルドの戦いを助ける者の心のフィヨルドの波を捧げる。
グリームニルの贈り物をもって、
彼に呼びかけたい。

詩は小人たちの海、または液体と呼ばれる。クヴァシルの血は、蜜酒に醸される前にはオーズレリルの中の液体であり、その大釜の中で蜜酒になったからである。そのため、詩はオーディンの大釜の液体とも呼ばれる。エイヴィンドが詠んだ、先に記した次の詩のように。

その一族を、
絞首台の荷の
大釜の液体の中で、
神々にまでさかのぼって数える間。

また、詩は小人たちの船、あるいはリーズとも呼ばれる。リーズはビールを意味し、船をも意味する。それゆえ、詩を小人たちの船と呼ぶ例として、次のような詩が挙げられる。

岩の伯の花嫁へ向けて、私はともに送らねばならない、
膨れ上がる風と小人たちの船を、
長らく忘れられた
同じ一つの道に沿って。

11

トールはどのようにケニングで表すべきか。オーディンとヨルズの息子、マグニとモージとスルーズの父、シヴの夫、ウルの継父、ミョルニルと力帯とビルスキルニルを操り所有する者、アースガルズとミズガルズの守護者、巨人たちと女トロルたちの敵または殺し手、フルングニルとゲイルロズとスリーヴァルディを討った者、シャールヴィとレスクヴァの主人、ミズガルズの蛇の敵、ヴィングニルとフローラの養い子、と呼ぶのである。詩人ブラギは、こう詠んだ。

ヴィズリルの跡継ぎの釣り糸は、
いささかも緩んではいなかった、
エイネーヴの橇のもとで、
ヨルムンガンドが砂地を引きずられていたとき。

エルヴィル・フヌーヴァは、こう詠んだ。

すべての国土を囲むものも、
ヨルズの息子も、激しく怒り立った。

エイリーヴは、こう詠んだ。

レスクヴァの兄は怒りを込めて立ち、
マグニの父は勝利を打ち取った。
トールの心の石もシャールヴィの心の石も、
恐れに震えることはない。

エイステイン・ヴァルダソンは、こう詠んだ。

険しい道の輪を
鋭い眼で見据えた、
船に恐ろしい者の住みかが迫る前に、
スルーズの父は。

エイステインは、またこう詠んだ。

シヴの語らいの友は、老人とともに
素早く漁具を
前へ差し出した。私はフリームニルの
角杯の流れをかき立てるすべを心得ている。

彼はまた、こう詠んだ。

大地の魚は、激しく身をよじった。
幅広い船板が前へ滑り、
ウルの縁者の両の拳は
舷側から外へ打ちつけられた。

ブラギは、こう詠んだ。

ハンマーが右手に収まった、
力強い舷板を持つ船を脅かす者が、
すべての国土を囲む魚の存在に
気づいたとき。

ガムリは、こう詠んだ。

そのとき、欺きを企てぬ君主は、
ビルスキルニルの心臓を持つ者は、
谷の鯨を害するものをもって、素早く
大地の魚を切り裂こうとした。

女神の詩人ソルビョルンは、こう詠んだ。

トールはユッグの助け手たちとともに、
力を尽くしてアースガルズを守ってきた。

ブラギは、こう詠んだ。

櫂で進む船の道にある
醜い輪は、
フルングニルの頭を砕く者を、
下から不屈の心でにらみつけた。

ブラギは、またこう詠んだ。

お前はよくぞ自らの牽き獣を
引き返させた、スリーヴァルディの
九つの頭を断つ者よ、
誉れ高い宴の集いで。

エイリーヴは、こう詠んだ。

夕暮れに歩き回る女たちを追い詰める者は、
腕の口を開いて迎えた、
鉗子の海藻の重い、
赤く焼けた一口を。

ウールヴ・ウッガソンは、こう詠んだ。

がっしりした体の者には恐ろしいと思われた、
牡山羊を使う者の、
力に満ちた引き上げによって
大きな危険が迫ることが。

また、次のようにも詠んでいる。

山のガウトを倒す者は、力いっぱい
拳を打ち鳴らした。
葦の脚を試す者にはひどい傷となった、
耳のあたりに受けたその一撃は。
(五十六)
ヴィムルの渡し場の巨人は、
波のそばで、輝く蛇の
耳の土台を打ち落とした。
そうした思い出が館の内を飾る。

ここでは、トールはヴィムルの渡し場の巨人と呼ばれている。ヴィムルは川の名で、トールがゲイルロズの館へ赴いたとき、歩いて渡った川である。詩人ヴェトルリジは、こう詠んだ。

お前はレイクンの脚を折り、
スリーヴァルディを打ちのめし、
スタルカズを打ち倒し、
ギャールプを踏み殺した。

女神の詩人ソルビョルンは、こう詠んだ。

ケイラの頭に一撃が響いた。
お前はキャッランディの全身を砕いた。
その前にはルートとレイジを殺し、
ブーセイラを血まみれにした。
ヘンギャンキョフタを押さえつけ、
それより前にヒュロッキンも死んだ。
だが、浅黒いスヴィーヴォルは、
それにも先立って命を奪われていた。

12

バルドルをどのように言い表すべきか。オーディンとフリッグの息子、ナンナの夫、フォルセティの父、フリングホルニとドラウプニルの持ち主、ヘズの敵、ヘルの連れ、涙の神と呼べばよい。ウールヴ・ウッガソンは『家の頌歌』でバルドルの物語を長く歌っており、バルドルをこのように言い表す例はすでに記した。

13

ニョルズをどのように言い表すべきか。ヴァンの神、ヴァンの一族、あるいはヴァン、またフレイとフレイヤの父、富を授ける神と呼べばよい。ショールズ・シャーレクソンはこう歌っている。

みずから息子たちの殺し手となった、
賢い女は愛せなかった、
キャラルは馴らした、
ハムジルが控えたとは歌われなかった、
グズルーンは。
神の花嫁はヴァンを。
馬たちを、いとも見事に。
剣の戯れを。

ここでは、先に記したように、スカジがニョルズのもとを去ったことに触れている。

14

フレイをどのように言い表すべきか。ニョルズの息子、フレイヤの兄弟、またヴァンの神、ヴァンの一族、ヴァン、豊穣の神、富を授ける者と呼べばよい。エギル・スカラグリームソンはこう歌った。

なぜならグリョートビョルンに
授けてくれたからだ、
フレイとニョルズが、
富を得る力を。

フレイはベリの敵とも呼ばれる。エイヴィンド・スカールダスピッリルがこう歌ったとおりである。

そのとき、海の果ての地に、
侯たちの敵は、
ベリの敵のその地に、
住もうとした。

フレイはスキーズブラズニルと、グリンブルスティという猪の持ち主である。ここでこう語られているとおりである。

イーヴァルディの息子たちは
遠い昔に取りかかった、
スキーズブラズニルを造ることに、
船のうちで最も優れたものを、
輝かしいフレイのために、
頼もしいニョルズの息子のために。

ウールヴ・ウッガソンはこう歌っている。

戦をよく知るフレイは火葬の場へ騎乗してゆく、
オーディンの息子のその場へ、
軍勢を率い、その先頭に立って、
黄金の剛毛を持つ猪に乗って。

この猪はスリーズルグタンニともいう。

15

ヘイムダルをどのように言い表すべきか。九人の母の息子、あるいは先に記したとおり神々の番人、また白いアース、ロキの敵、フレイヤの首飾りを取り戻す者と呼べばよい。ヘイムダルの頭は剣と呼ばれる。彼は人の頭で打ち貫かれたと伝えられている。このことは『ヘイムダルの呪歌』に歌われており、それ以来、頭はヘイムダルの命を奪うものと呼ばれる。剣は人の命を奪うものと呼ばれる。ヘイムダルはグルトップの持ち主である。また、ヴァーガスケルとシンガステインを訪れた者でもある。そのとき彼はブリーシンガメンをめぐってロキと争った。ヴィンドレールともいう。ウールヴ・ウッガソンは『家の頌歌』でこの物語を長く歌っており、そこでは二人がアザラシの姿をしていたことに触れている。ヘイムダルもまたオーディンの息子である。

16

テュールをどのように言い表すべきか。片手のアース、狼の養い親、戦の神、オーディンの息子と呼べばよい。

17

ブラギをどのように言い表すべきか。イズンの夫、詩を最初に作った者、長い髭のアースと呼べばよい。髭の豊かな者を髭のブラギと呼ぶのは、彼の名に由来する。また、オーディンの息子とも呼ぶ。

18

ヴィーザルをどのように言い表すべきか。沈黙のアース、鉄の靴の持ち主、狼フェンリルの敵にして殺し手、神々の仇を討つアース、父の屋敷跡に住むアース、オーディンの息子、アースたちの兄弟と呼ぶことができる。

19

ヴァーリをどのように言い表すべきか。オーディンとリンドの息子、フリッグの継子、アースたちの兄弟、バルドルの仇を討つアース、ヘズの敵にしてその殺し手、父の屋敷跡に住む者と呼べばよい。

20

ヘズをどのように言い表すべきか。盲目のアース、バルドルの殺し手、ヤドリギを射る者、オーディンの息子、ヘルの連れ、ヴァーリの敵と呼べばよい。

21

ウルをどのように言い表すべきか。シヴの息子、トールの継子、スキーのアース、弓のアース、狩りのアース、盾のアースと呼べばよい。

22

ヘーニルをどのように言い表すべきか。オーディンと席を並べる者、その連れ、あるいは語らいの相手、また足の速いアース、長い脚の者、泥の王と呼べばよい。

23

ロキをどのように言い表すべきか。ファールバウティとラウフェイ、すなわちナールの息子、ビューレイストとヘルブリンディの兄弟、ヴァーナルガンドすなわち狼フェンリルと、ヨルムンガンドすなわちミズガルズの蛇と、ヘル、ナリ、アーリの父、オーディンとアースたちの親族、父方のおじ、旅の連れ、席を並べる者、ゲイルロズの客にして櫃の飾り、巨人たちから盗む者、山羊とブリーシンガメンとイズンのリンゴを盗んだ者、スレイプニルの親族、シギュンの夫、神々の敵、シヴの髪を損なった者、災いを作る者、狡猾なアース、神々を中傷し欺く者、バルドル殺害の企てを立てた者、縛られたアース、ヘイムダルとスカジの争いの相手と呼べばよい。ここでウールヴ・ウッガソンがこう歌っているとおりである。

知略に長け、名高い神々の地の守り手は、
シンガステインで争う、
並外れて狡猾な
ファールバウティの息子と。
勇猛な息子は、美しい海の腎臓を手に入れる、
八人の母と、さらに
一人の母から生まれた者は。私は先に
頌歌の節々でそのことを語った。

ここでは、ヘイムダルが九人の母の息子であることに触れている。

24

さて、今しがた記した言い換えのうち、まだその由来を示していなかったものについて、さらに物語を述べよう。ブラギはエーギルにこう語った。トールが怪物たちを打ち倒すために東方へ出かけていたとき、オーディンはスレイプニルに乗ってヨトゥンヘイムへ赴き、フルングニルという巨人のもとへやって来た。するとフルングニルは、金の兜をかぶり、空と海を駆けるその男は何者かと尋ね、すばらしくよい馬を持っているものだと言った。オーディンは、自分の首を賭けてもよいが、ヨトゥンヘイムにこれほどよい馬はいないはずだと答えた。フルングニルは、それはよい馬だが、自分にははるかに大股で走る馬がいると言った。その馬はグルファクシという。フルングニルは腹を立て、自分の馬に飛び乗ってオーディンのあとを追い、その大言に報いてやろうと思った。オーディンは激しく馬を駆り、丘を一つ隔てるほど先へ出ていた。だがフルングニルは巨人の怒りに激しく駆られ、気づいたときにはもうアースの門の内に入り込んでいた。

彼が館の戸口に来ると、アースたちは酒宴へ招いた。フルングニルは館に入り、飲み物を出すように言った。そこでトールがいつも使っていた大杯が運ばれ、フルングニルはどの杯からも飲み干した。酔いが回ると、大言が尽きなかった。ヴァルハラを持ち上げてヨトゥンヘイムへ運び、アースガルズを沈め、神々を皆殺しにしてやる、ただしフレイヤとシヴだけは家へ連れて帰るのだと言った。そのとき、彼に酌をする勇気があったのはフレイヤだけだった。彼はアースたちのビールをすべて飲み尽くしてやると言い張った。

アースたちはその大言にうんざりすると、トールの名を呼んだ。たちまちトールがハンマーを振り上げて館に現れた。ひどく怒り、犬のように狡猾な巨人どもがここで酒を飲むのは誰の差し金か、誰がフルングニルにヴァルハラにいても危害を加えないと約束したのか、なぜフレイヤはアースたちの宴であるかのように彼に酌をせねばならないのかと尋ねた。フルングニルはトールに敵意に満ちた目を向け、オーディンが自分を酒宴に招き、自分はその保護のもとにいるのだと答えた。するとトールは、フルングニルはここを出る前にその招待を悔やむことになると言った。

フルングニルは、武器を持たない自分を殺したところで、アースのトールの名誉にはさほどならないと言った。国境のグリョートトゥーナガルズで自分と戦う勇気があるかどうか、そのほうがよほど度胸を試されるというのだ。「盾と砥石を家に置いてきたのは、まったく愚かなことだった」と彼は言った。「ここに武器があれば、今すぐ一騎討ちで勝負をつけるところだ。だがそうでない以上、武器を持たない私を殺すつもりなら、お前を卑怯者と呼ぶぞ」

一騎討ちを挑まれたからには、トールは何があっても出向くのをためらうつもりはなかった。それまで誰も彼にそのような挑戦をしたことがなかったからである。フルングニルは帰途につき、激しく馬を駆ってヨトゥンヘイムへ戻った。彼の旅と、トールとの決闘の約束ができたことは、巨人たちの間で大いに評判になった。どちらが勝つかに、自分たちの命運が大きくかかっていると巨人たちは考えた。フルングニルが倒れれば、トールから災いを受けるだろうと恐れたのである。フルングニルは巨人たちのうちで最も強かった。

そこで巨人たちは、グリョートトゥーナガルズに粘土で人を作った。高さは九ラスト、胸の幅は三ラストあった。だがその体にふさわしい大きさの心臓は手に入らず、ある牝馬から取り出してようやく収めた。その心臓は、トールが来ると落ち着いてはいなかった。

フルングニルの心臓は名高いもので、硬い石でできており、三つの角が尖っていた。のちにフルングニルの心臓と呼ばれる彫り模様が作られたが、それと同じ形だった。頭も石でできていた。盾もまた石で、幅広く厚かった。フルングニルはグリョートトゥーナガルズに立ってトールを待つ間、この盾を前に構えていた。武器には砥石を持ち、肩の上に振りかざしており、近寄りがたい姿だった。彼の傍らにはモックルカールヴィという粘土の巨人が立っていたが、ひどくおびえていた。トールを見て小便を漏らしたと伝えられている。

トールは決闘の場へ赴き、シャールヴィが同行した。シャールヴィはフルングニルの立っているところへ駆け寄り、こう言った。「用心が足りないぞ、巨人よ。盾を前に構えているが、トールはお前の姿を見て、地面の下を進んでいる。お前の下から現れるぞ」

そこでフルングニルは盾を足の下に置いてその上に立ち、砥石を両手で握った。すると稲妻が走り、大きな雷鳴が聞こえた。彼は神の怒りに燃えるトールを見た。トールは激しく進み、ハンマーを振りかざすと、遠くからフルングニルめがけて投げつけた。フルングニルは砥石を両手で振り上げ、投げ返した。砥石は飛んできたハンマーにぶつかり、二つに砕けた。一方は地上に落ち、あらゆる砥石の岩山はそこから生じた。もう一方はトールの頭に突き刺さり、トールは地面にうつ伏せに倒れた。だがハンマーのミョルニルはフルングニルの頭の真ん中に当たり、その頭蓋を粉々に砕いた。フルングニルはトールの上に倒れかかり、その片足がトールの首の上に乗った。一方、シャールヴィはモックルカールヴィに討ちかかり、こちらはほとんど名誉を得ることもなく倒れた。

シャールヴィはトールのところへ行き、フルングニルの足をどけようとしたが、まるで動かせなかった。トールが倒れたと聞くと、アースたちが皆やって来て、その足をどけようとしたが、どうにもできなかった。そこへ、トールとヤールンサクサの息子マグニがやって来た。そのときまだ生後三夜だった。マグニはフルングニルの足をトールの上から投げのけ、こう言った。「父上、私が来るのがこんなに遅くなって、ひどいことになりましたね。この巨人が生きているところに出会っていたら、私の拳で殴り殺してやれたでしょうに」

トールは起き上がり、息子を大いに喜んで迎え、きっと大した男になるだろうと言った。「それで」とトールは言った。「フルングニルが持っていた馬グルファクシをお前にやろう」

するとオーディンは、あのよい馬を自分の父に与えず、女巨人の息子に与えるとは、トールのしたことは間違っていると言った。

25

トールはスルーズヴァンガルの家へ帰ったが、頭には砥石が刺さったままだった。そこへ、勇敢なアウルヴァンディルの妻で、グローアという巫女がやって来た。彼女がトールに呪文を唱えると、砥石が緩んできた。トールはそれに気づき、砥石を抜き取れそうだと思うと、治療の礼をし、グローアを喜ばせてやろうとした。そこで、北からエーリヴァーガルを渡ったとき、アウルヴァンディルを背負い籠に入れ、北のヨトゥンヘイムから運んできたという知らせを彼女に語った。その証拠に、彼の足の指が一本、籠からはみ出して凍ってしまったので、トールはそれを折り取り、空へ投げ上げて、アウルヴァンディルの足指という星にしたのだとも話した。トールは、アウルヴァンディルも間もなく家に帰るだろうと言った。だがグローアはあまりに喜んだため、呪文をすっかり忘れてしまった。そのため砥石はそれ以上緩まず、今もトールの頭に刺さっている。砥石を床の向こうへ投げてはならないと戒められているのはそのためで、そうするとトールの頭の砥石が動くからである。この物語をもとに、フヴィンのショーゾールヴは『秋の長歌』を作った」

するとエーギルが言った。「フルングニルは、ずいぶん強大な者だったようだ。トールは怪物たちを相手に、これを上回る力業を何か成し遂げたことがあるのか」

26

そこでブラギは答えた。「トールがゲイルロズの館へ赴いたときのことは、詳しく語るに値する。そのときトールは、ハンマーのミョルニルも、力の帯も、鉄の手袋も持っていなかった。それはロキのせいだった。ロキもトールと一緒に行ったのだが、それには次のようないきさつがあった。あるときロキは、フリッグの鷹の羽衣で遊びに飛び出し、好奇心からゲイルロズの館へ飛んでいった。そこに大きな広間を見つけ、窓辺にとまって中をのぞいた。ゲイルロズは彼のほうに目を向け、その鳥を捕らえて連れてくるように命じた。しかし、遣わされた男は、広間の壁を登るのにひどく苦労した。それほど壁は高かったのだ。ロキは男が苦労して登ってくるのを面白がり、難所をすっかり登りきるまで、しばらく飛び立たずにいようと思った。ところが、男が手を伸ばしてきたので、飛び立とうと身構え、力いっぱい蹴ると、足が貼りついていた。こうしてロキは捕らえられ、巨人ゲイルロズのもとへ連れていかれた。

ゲイルロズはその目を見ると、人が姿を変えたものではないかと疑い、返事をするよう命じたが、ロキは黙っていた。そこでゲイルロズはロキを箱に閉じ込め、三か月のあいだ食べ物を与えなかった。ゲイルロズがロキを取り出して口をきくよう求めると、ロキは自分が何者かを明かした。そして命を助けてもらうため、ハンマーも力の帯も持たせずにトールをゲイルロズの館へ連れてくると誓った。

トールは、グリーズという女巨人のもとに泊まった。彼女は寡黙なヴィーザルの母だった。グリーズは、ゲイルロズが非常に狡猾で、相手にしにくい巨人だと、ありのままをトールに話した。そして自分の持っていた力の帯と鉄の手袋、それにグリーザルヴェルという杖を貸した。

やがてトールは、あらゆる川のうちで最も大きい、ヴィムルという川にやってきた。そこで力の帯を締め、グリーザルヴェルを流れの上手につきながら進み、ロキは力の帯につかまっていた。トールが川の真ん中に達したとき、川は激しく増水し、波が肩にまで打ちつけた。そこでトールはこう詠んだ。

六十五
今は増すな、ヴィムルよ、
おまえを渡ってゆかねばならぬ、
巨人たちの館へと。
知っているか、おまえが増せば、
わが神の力もまた増し、
天にも届くほどになるのだ。

するとトールは、上流の峡谷で、ゲイルロズの娘ギャールプが川をまたいで立っているのを見た。川を増水させていたのは彼女だった。トールは川から大きな石を拾い上げ、彼女に投げつけてこう言った。『川は河口でせき止めるものだ。』投げた石は狙いを外さなかった。その間にトールは岸辺へ流れ着き、ナナカマドの茂みにつかまって川から上がった。これが、『ナナカマドはトールの救い』という言い回しの由来である。

トールがゲイルロズのもとへ着くと、一行はまず山羊小屋を宿としてあてがわれた。そこには腰掛ける椅子が一つあり、トールはそれに座った。すると、椅子が自分を乗せたまま屋根へ向かって上がってゆくのに気づいた。トールはグリーザルヴェルを垂木に突き当て、椅子に力いっぱい体重をかけた。すると大きな音がして、そのあとに悲鳴が続いた。椅子の下にいたのは、ゲイルロズの娘ギャールプとグレイプで、トールは二人とも背骨を折ってしまったのだ。

それからゲイルロズは、競技をするためにトールを広間へ呼び入れた。広間には端から端まで大きな火が燃えていた。トールがゲイルロズの向かいへ来ると、ゲイルロズは真っ赤に焼けた鉄塊を火箸でつかみ、トールへ投げつけた。だがトールは鉄の手袋でそれを受け止め、鉄塊を高く振り上げた。ゲイルロズは身を守ろうと鉄柱の陰へ飛び込んだ。トールが投げた鉄塊は、柱を貫き、ゲイルロズを貫き、壁をも貫いて、外の地面へ突き刺さった。」

この物語に基づいて、エイリーヴ・グズルーナルソンは『トール頌歌』を詠んだ。

27

フリッグはどのように言い換えるべきか。フィヨルギュンの娘、オーディンの妻、バルドルの母、ヨルズとリンドとグンロズとゲルズの恋敵、ナンナの姑、アースの神々と女神たちの女王、フッラと鷹の羽衣とフェンサリルの女王、と呼べばよい。

28

フレイヤはどのように言い換えるべきか。ニョルズの娘、フレイの妹、オーズの妻、フノスの母、戦死者とセスルームニルと雄猫とブリーシンガメンの持ち主、ヴァンの神、ヴァンの女神、涙の美しい神、愛の神、と呼べばよい。

このように、アースの女神はみな、ほかの女神の名で呼び、それぞれの持ち物、行い、血筋に結びつけて言い換えることができる。

29

シヴはどのように言い換えるべきか。トールの妻、ウルの母、美しい髪の神、ヤールンサクサの恋敵、スルーズの母、と呼べばよい。

30

イズンはどのように言い換えるべきか。ブラギの妻、リンゴの守り手、と呼べばよい。また、そのリンゴはアースの神々の老いを防ぐ薬と呼ぶ。イズンはまた、巨人シャツィの略奪した獲物でもある。先に述べたように、シャツィは彼女をアースの神々のもとからさらっていった。この物語に基づいて、フヴィンのショーゾールヴは『ハウストレング』を詠んだ。

アースの神々も同じく、それぞれをほかの神の名で呼び、その行い、持ち物、血筋に結びつけて言い換えるのが正しい。

31

天はどのように言い換えるべきか。ユミルの頭蓋と呼び、そこから巨人の頭蓋とも呼ぶ。また、小人たちの労苦あるいは重荷、ヴェストリ、アウストリ、スズリ、ノルズリの兜、太陽と月と星々と天の車と風の国、大気と大地と太陽の兜あるいは家、と呼べばよい。侯の詩人アルノールはこう詠んだ。

若き王が、これほど気前よく、
板張りの船へ足を踏み入れることは二度とあるまい。
この君主には、古きユミルの頭蓋の下で、
惜しみなく与える心が満ちていた。

また、同じ詩人はこう詠んだ。

輝く太陽は黒くなり、
大地は暗い海に沈む。
アウストリの労苦は砕け、
海はあまねく山々に鳴りとどろく。

ベルヴァル・バルティはこう詠んだ。

太陽の大地の下には、
インギの兄弟たちよりも
戦に勇み、すぐれた、
気高い国の統治者は現れまい。

フヴィンのショーゾールヴはこう詠んだ。

ヨルズの息子は鉄の戯れへ駆けた。
その下で月の道がとどろき、
メイリの兄弟の
怒りはふくれ上がった。

バル島の詩人オルムはこう詠んだ。

ドラウプニルの輪の女神よ、いずれにせよ、
わたしは王が強大だと聞く。
天の車の道の支配者が、その国を治め、
わたしを喜ばせてくれる。

詩人ブラギはこう詠んだ。

その者は投げ上げた、
スキーの女神の父の両目を、
あまたの人々の住まいの上、
風の広い手の水盤へと。

マルクースはこう詠んだ。

吹雪の器の底に、さらに尊い
人々の守り手が生まれることは、まずあるまい。
波に囲まれたその底で、誰もが
腕輪を投げ与える者の栄えある生涯をたたえる。

ステイン・ヘルディースァルソンはこう詠んだ。

わたしはこの詩の節で、世界の高き天幕の
聖なる君主を、ほかの人々に先立って歌う。
賛歌は進みゆく。
その方は、ほかの人々よりも尊いのだから。

侯の詩人アルノールはこう詠んだ。

昼の大地の尊き王よ、
尊きヘルムンドを助けたまえ。

また、アルノールはこう詠んだ。

太陽の天幕のまことの支配者よ、
勇敢なレグンヴァルドを助けたまえ。

ハッルヴァルズはこう詠んだ。

クヌートは大地を守る、
万物の輝かしき主が山々の広間を守るように。

アルノールはこう詠んだ。

知恵深きミカエルは、過ちとされることと、
すべての善いこととを秤にかける。
そののち太陽の兜の君主が、
裁きの座から人々を分かつ。

32

大地はどのように言い換えるべきか。ユミルの肉、トールの母、オーナルの娘、オーディンの花嫁、フリッグとリンドとグンロズの恋敵、シヴの姑、風の広間の床あるいは底、獣たちの海、ノートの娘、アウズとダグの姉妹、と呼べばよい。詩人たちを凌ぐエイヴィンドはこう詠んだ。

今、川の太陽は、
巨人の仇の母の肉体に隠された。
強大な民の
はかりごとは力を振るう。

難詩の詩人ハッルフレズはこう詠んだ。

事は成った。そののち、
知略に富む王の相談役は、
木々の生い茂るオーナルの
ひとり娘を妻にした。

また、同じ詩人はこう語った。

鋼のカラスのとまり場へと進む者は、
権勢ある言葉によって、
バーれイグの顔の広い花嫁を
自分のもとへ引き寄せた。

ショーゾールヴはこう詠んだ。

海のトナカイの湿地の端で、
豪族たちを喜ばせる者は、
櫂で進む船腹を備えた人々の乗り物を、
外から海の底へ結びつける。

ハッルフレズはこう詠んだ。

名高き、気高き与え手は、
アウズの姉妹を手放すことを、ひどく嫌がるだろう。
首飾りを減らす者の下に
大地が従うからだ。

ショーゾールヴはこう詠んだ。

戦の光を振るう者が、かつて
花嫁料なしにリンドの恋敵を得たとき、
槍を振るうのを怠る愚か者は、
遠く離れて立っていた。

33

海はどのように言い換えるべきか。ユミルの血、神々を訪れる者、ラーンの夫、エーギルの娘たちの父、と呼べばよい。その娘たちの名は、ヒミングレーヴァ、ドゥーヴァ、ブローズグハッダ、ヘヴリング、ウズ、フレン、ビュルギャ、バーラ、コールガである。また、ラーンとエーギルの娘たちの国、船および海をゆく船のさまざまな呼び名を冠した国、竜骨と船首材と舷側板と船板の継ぎ目と魚と氷の国、海王たちの道あるいは通り道、と呼ぶ。同じく、島々の輪、砂と海藻と岩礁の家、釣り糸と海鳥と順風の国、とも呼ぶ。バル島の詩人オルムはこう詠んだ。

よい船の外では、
ユミルの血が砂州に鳴り響く。

レーヴはこう詠んだ。

波を疾走する、帆桁のおとなしい獣が、西から
海を越えて、濡れた肩を運ぶ。
鯨の棟木を削り進む。
わたしは船首の前に陸が現れることを願う。

スヴェインはこう詠んだ。

そのとき、吹雪を喜ぶエーギルの娘たちは、
霜の中で育った者たちは、
山の囲いの激しい突風を受け、
槍の柄の穴の衣を織り、引き裂いた。

また、レーヴはこう詠んだ。

波が砕けるところで、撚った綱の熊は、
しばしばエーギルの顎へ、
ギュミルの水しぶきに冷えた
巫女を運び入れる。

ここでは、エーギル、フレール、ギュミルは、すべて同じ者だと言われている。また、同じ詩人はこう詠んだ。

海の峰のスレイプニルは、水しぶきを浴び、
白いラーンの口から
その胸を引き裂いて抜け出す。
赤い顔料を塗られた胸を。

エイナル・スクーラソンはこう詠んだ。

激しい嵐の風が、船を
岸から勢いよく押し出した。
白鳥の国の馬は、雪の大地を
引き波の中へ沈める。

また、同じ詩人はこう詠んだ。

人々の握る櫂柄が幾つも立ち上がる。
釣り糸の鳴り響く岸は、陸を取り巻いて押し寄せる。
ときおり支索が
ぴんと張りつめる。

また、同じ詩人はこう詠んだ。

王の船の舳先と艫は、金色の板をまとう。
これは君主にふさわしい立派な旅だ。
島々を縛るものが、
ヘイティのカラスを走らせる。

また、同じ詩人はこう詠んだ。

秋の冷たさを帯びた島の縁が、
霜をまとった船べりのスキーを押しやる。

さらに、このようにも詠んだ。

冷たい国々の太い帯が、
船首の前で裂け開く。

スネービョルンはこう詠んだ。

島の石臼の九人の花嫁が、
大地の縁の沖合で、
岩礁の、最も恐ろしいグロッティを
勢いよく回すという。
はるか昔にアムロージの飲み物の粉を
挽いた女たちのもと、船の斜面の住まいを、
腕輪を切り分ける者は、
船首で切り進む。

ここでは、海がアムロージの挽き臼と呼ばれている。

また、エイナル・スクーラソンはこう詠んだ。

ラクニの突進する流れの中で、
頑丈な船釘がたわむ。
帆の災いが、青白い肋骨の下の
揺れる大地を支索へ押しつける。

34

太陽はどのように言い換えるべきか。ムンディルファリの娘、マーニの姉妹、グレンの妻、天と大気の火、と呼べばよい。スクーリ・ソルステインソンはこう詠んだ。

神々しい美しさのグレンの妻は、
女神の聖所へ歩み入る。そののち、
灰色の衣のマーニの上から、
明るい光が、光線を伴って差してくる。

エイナル・スクーラソンはこう詠んだ。

ベイティの城の、炎さながらに激しい広間の上、
わが宝の友の頭上の高みに、
世界の揺らめく炎は、
どこにも漂ってはいない。

35

風はどのように言い換えるか。フォルニョートの息子、エーギルと火の兄弟、森を砕くもの、森や帆や帆具を損ない、殺すもの、あるいはそれらの犬、狼と呼ぶ。スヴェインは『ノルズルセタ頌歌』でこう述べた。

まず吹き荒れはじめたのは、
フォルニョートの醜い息子たちだった。

36

火はどのように言い換えるか。風とエーギルの兄弟、森や家々を殺し、滅ぼすもの、ハールヴを殺したもの、家々の太陽と呼ぶ。

37

冬はどのように言い換えるか。ヴィンドスヴァルの息子、蛇を殺すもの、吹雪の季節と呼ぶ。オルム・ステインソールソンはこう詠んだ。

このヴィンドスヴァルの息子の季節に、
私は目の見えぬ男に喜びをもたらそう。

アースグリームはこう詠んだ。

勝利をもたらす者は、その後、
トロンヘイムで黄金を惜しまず与えた。
人々はお前の確かな行いを知っている、
あの蛇の苦しむ季節の行いを。

38

夏はどのように言い換えるか。スヴァースズの息子、蛇へのいたわり、人々の実りと呼ぶ。エギル・スカラグリームソンはこう詠んだ。

われらの剣を掲げて輝かせよう、
狼の歯を染める者よ。
われらは勇ましい業をなすべきだ、
谷の魚へのいたわりの季節に。

39

男はどのように言い換えるか。男はその行い、つまり自分が与え、受け取り、なし遂げることによって言い換える。また、持っている財産によっても、かつて与えたものによっても言い換えられる。さらに、自分が出た一族によっても、自分から生まれた一族によっても言い換えられる。

これらのものによって、どのように男を言い換えるか。その旅や営み、戦い、航海、狩猟、武器、船の、担い手、あるいは遂行者と呼ぶのである。男は武器を試す者であり、戦いに励む者であって、いずれも、なし遂げる者と同じ意味になる。戦いに励む者を表すヴィズは、木を意味する。武器を試す者を表すレイニルも木の名である。この呼び名から、詩人たちは男をトネリコや楓、木立、あるいはほかの男性名詞の木の名で呼び、戦いや船や財産と結びつけて言い換えてきた。男をアースの神々のいずれの名に結びつけて言い換えてもよい。巨人の名に結びつけることもあるが、その多くは嘲りや悪口である。妖精の名に結びつけるのは、よい言い換えとされる。

女は、あらゆる女の装い、黄金や宝石、女が差し出し、与えるビールや葡萄酒、その他の飲み物によって言い換える。また酒器や、その女が行い、差し出すのにふさわしいあらゆるものによっても言い換える。女が分け与えるものの、与え手、あるいは木と呼んで言い換えるのもよい。与え手を表すセリヤも、ラーグも木の名である。そのため、女はあらゆる女性名詞の木の名を用いて言い換えられる。

女を宝石や玻璃の石に結びつけて言い換えるのは、昔、女たちが首にかけていた、石の首飾りと呼ばれる装身具があったためである。今ではこの言い換えが広げられ、女は石や、石を表すあらゆる呼び名によって言い換えられる。また、女神やワルキューレ、ノルン、ディースのいずれに結びつけても女を言い換えられる。女自身のあらゆる営みや、財産、一族によって言い換えてもよい。

40

黄金はどのように言い換えるか。エーギルの火、グラシルの針葉、シヴの髪、フッラの鉢巻き、フレイヤの涙、巨人たちの語らいや声や言葉、ドラウプニルの滴、ドラウプニルあるいはフレイヤの目から降る雨や驟雨、カワウソの賠償金、アースの神々が強いられた支払い、フューリス平原の種、ホルギの塚の屋根、あらゆる水の火、手の火、手の石や岩礁や輝きと呼ぶ。

41

なぜ黄金はエーギルの火と呼ばれるのか。それには、先に触れた、エーギルが招かれてアースガルズを訪れたという物語がある。帰り支度が整うと、エーギルはオーディンとアースの神々すべてを、三か月後に自分のもとへ招いた。この旅に加わったのは、まずオーディン、それにニョルズ、フレイ、テュール、ブラギ、ヴィーザル、ロキであり、女神たちではフリッグ、フレイヤ、ゲフィユン、スカジ、イズン、シヴだった。トールはそこにいなかった。怪物を殺すため、東方へ出かけていたのである。

神々が席に着くと、エーギルは広間の床に、光を放つ黄金を運び入れさせた。それは火のように広間を明るく照らしたので、宴では明かりとして用いられた。ヴァルハラで剣が火の代わりをしていたのと同じである。そこでロキは神々すべてと口論し、エーギルの奴隷でフィマフェングという者を殺した。もう一人の奴隷はエルディルという。エーギルの妻はラーンといい、二人の九人の娘については先に記した。この宴では、食事もビールも、宴に必要なすべての用意も、おのずと整った。そのときアースの神々は、ラーンが網を持ち、海へ出た人間をみなそれで捕らえることを知った。

この物語によって、黄金がエーギル、ラーン、あるいはエーギルの娘たちの火、光、輝きと呼ばれる由来がわかる。これらの言い換えから、黄金は海の火とも、海を表すあらゆる呼び名の火とも呼ばれるようになった。エーギルやラーンの名も海を表す呼び名だからである。そこから今では、黄金は湖や川の火、またあらゆる川の名を用いた火と呼ばれる。

こうした呼び名も、ほかの呼び名や言い換えと同じ道筋をたどってきた。後の詩人たちは、昔の詩人たちの詩にある手本にならって詠み、さらに、先に詠まれたものと似ていると思われる事柄へと、その表現を広げたのである。湖は海に似ており、川は湖に、小川は川に似ている、というように。したがって、呼び名をそれまでの用例よりも広く用いることは、すべて新たな比喩と呼ばれる。類似と本来の性質にかなっていれば、いずれもよいものとされる。詩人ブラギはこう詠んだ。

酒宴で君主からいただいた、
肘の台の流れの火を。
山々のフョルニルの杯とともに、
王はそれを私に与えた。

42

なぜ黄金はグラシルの針葉、あるいは葉と呼ばれるのか。アースガルズの、ヴァルハラの戸口の前に、グラシルと呼ばれる木立がある。その葉はすべて赤い黄金である。ここでこう詠まれているとおりである。

グラシルが立っている、
黄金の葉をつけて、
シグテュールの館の前に。

これは神々と人間のもとで、最も美しい木である。

43

なぜ黄金はシヴの髪と呼ばれるのか。ラウフェイの息子ロキは、悪戯心からシヴの髪をすっかり切り落としてしまった。それを知ったトールはロキを捕まえ、体じゅうの骨を砕こうとした。そこでロキは、黒い妖精たちに頼み、本物の髪と同じように生える髪を、シヴのために黄金で作らせると誓った。

その後ロキは、イーヴァルディの息子たちという小人のもとへ行った。彼らはその髪と、スキーズブラズニルと、オーディンの持つグングニルという槍を作った。するとロキは、ブロックという小人に、自分の首を賭けて、その兄弟シンドリには、これに劣らぬ宝物を三つ作れまいと言った。

鍛冶場へ来ると、シンドリは炉に豚の皮を入れ、ブロックにふいごを吹くよう命じた。そして、自分が炉に入れたものを取り出すまで、手を休めてはならないと言った。シンドリが鍛冶場から出てゆき、ブロックがふいごを吹いていると、たちまち一匹の蠅がその手に止まり、噛みついた。それでもブロックは、それまでどおりに吹きつづけた。やがて鍛冶師が炉から取り出したのは、一頭の猪だった。その剛毛は黄金でできていた。

次にシンドリは炉に黄金を入れ、ブロックにふいごを吹くよう命じ、自分が戻るまで吹くのをやめてはならないと言って、出ていった。すると蠅が飛んできて、ブロックの首に止まり、今度は前の倍も強く噛みついた。それでもブロックは吹きつづけた。やがて鍛冶師は炉から、ドラウプニルという黄金の腕輪を取り出した。

それからシンドリは炉に鉄を入れ、ブロックにふいごを吹くよう命じ、風が途切れれば、作っているものがだめになってしまうと言った。すると蠅はブロックの両目のあいだに止まり、まぶたに噛みついた。血が目に流れ込んで何も見えなくなると、ブロックは、ふいごがしぼむあいだに、すばやく片手を上げ、蠅を払いのけた。そのとき鍛冶師が戻ってきて、炉に入っているものがすっかりだめになるところだったと言った。それから炉からハンマーを取り出した。

シンドリは宝物をすべて兄弟のブロックに手渡し、アースガルズへ持っていって、賭けの決着をつけるよう命じた。ブロックとロキが宝物を差し出すと、アースの神々は裁きの座に着き、オーディン、トール、フレイの下す判定に従うことになった。

ロキはオーディンに槍グングニルを、トールにはシヴのための髪を、フレイにはスキーズブラズニルを与え、それぞれの宝物について説明した。槍は突けば必ず相手を貫き、髪はシヴの頭に載せると、たちまち肉に根づく。スキーズブラズニルは帆を揚げれば、どこへ向かうにも順風を受け、望むなら布のように畳んで袋に入れて持ち歩くこともできるという。

次にブロックが自分の宝物を差し出した。オーディンには腕輪を与え、九夜ごとに、この腕輪と同じ重さの腕輪が八つ、そこから滴り落ちると言った。フレイには猪を与え、これは夜も昼も、空も水の上も、どんな馬より速く駆けることができ、夜であろうと闇の世界であろうと、この猪の行くところでは、十分な明かりが得られないほど暗くなることはないと言った。それほど剛毛が明るく輝くのである。

それからトールにハンマーを与え、何を相手に、どれほど強く打ちつけても、このハンマーが壊れることはないと言った。また、投げつければ決して狙いを外さず、どれほど遠くへ飛んでも必ず手もとに戻り、望むならシャツの懐に収められるほど小さくもなるという。ただし、柄がいくらか短いという欠点があった。

神々は、ハンマーがすべての宝物のうちで最も優れており、霜の巨人たちに対する最大の守りとなると判定し、賭けたものは小人のものになると裁いた。そこでロキは自分の首を買い戻そうと申し出たが、小人は、そんな望みはかなわないと言った。

「それなら私を捕まえろ」とロキは言った。だが、小人が捕まえようとしたときには、もうはるか遠くにいた。ロキは、空も水の上も駆けられる靴を持っていたのである。そこで小人はトールに、ロキを捕まえるよう頼み、トールはそのとおりにした。

小人はロキの頭を切り落とそうとしたが、ロキは、お前のものになったのは頭であって、首ではないと言った。そこで小人は革紐とナイフを取り、ロキの唇に穴をあけて口を縫い合わせようとした。だが、ナイフは切れなかった。小人は、ここでは兄弟の錐のほうがよく役立つだろうと言った。すると、その名を口にするやいなや錐が現れ、唇を貫いた。小人は唇を縫い合わせたが、ロキは縫い目から紐を引き裂いた。ロキの口を縫い合わせたその革紐は、ヴァルタリという。

44

黄金がフッラの鉢巻きによって言い換えられることは、詩人殺しのエイヴィンドが詠んだ、次の詩に聞かれる。

フッラの眉の野の
沈む太陽が、ウルの船の山々で輝いた。
ハーコンの生涯を通じて、
詩人たちのもとで。

黄金は、先に述べたように、フレイヤの涙と呼ばれる。スクーリ・ソルステインソンはこう詠んだ。

あの朝、殺戮の火で災いをもたらす
多くの者が、われらの敵を倒した場で、
フレイヤの涙をいっそう多く得た。
われらはそこにいた。

また、エイナル・スクーラソンはこう詠んだ。

マルデルの涙が
刻み溝のあいだに宿る、
ガウトの強い扉を損なうものを私は携える、
谷の鱒のねぐらをふんだんに飾ったものを。

ここでもエイナルは、フレイヤをフノスの母、あるいはオーズの妻と呼んで言い換えている。次のとおりである。

オーズと床をともにする女の目の雨によって、
ロージの屋根の
堅い氷が損なわれることはない。
王がこうして老いを迎えられるように。

また、こうも詠んだ。

ヘルンの誉れ高い子を私は振るう、
授かった宝物は貴い。
刃は盾を損なうものの上に安らぐ、
黄金に包まれたものの上に。
戦の白鳥を養う者は、私に
フロージの召使いたちの種を与えた。
フレイの姪は、その母の
まつげの吹きだまりを身に帯びている。

ここにはまた、フレイヤをフレイの妹と呼んで言い換えられることが示されている。また、こうも詠んだ。

私には、役立つ守りが与えられた、ニョルズの娘の
子とともに。それは鋼のすぐそばにあった。
私は君主の守りと、その子を大いに誇る、
海の炎を。

ここで彼女はニョルズの娘と呼ばれている。また、こうも詠んだ。

勇気をほとばしらせる者が与えてくれた、
戦に雄々しい、ヴァーヴズの
集いを駆り立てる者が、
ヴァナブルーズの、力に満ちた娘を。
剣を力強く振るう者は、乙女を
詩人の床へと導いた、
ガウトレクの白鳥たちの道の熾火をまとった、
ゲヴンの乙女を。

ここで彼女はゲヴン、またヴァナブルーズと呼ばれている。フレイヤのあらゆる呼び名に涙を結びつけ、それによって黄金を言い換えてよい。これらの言い換えには多くの変化があり、彼女の目、頬、頬のあたり、まつげ、まぶたの、雹、雨、吹雪、滴、驟雨、滝などと呼ばれる。

45

ここから、前に述べたとおり、黄金が巨人たちの言葉、あるいは声と呼ばれることがわかる。詩人ブラギはこう詠んだ。
私にはかの三人目の友がいた、
鯨の下なる球のアーリの声には最悪の友、
私には最良の友であり、
そしりを受けるところのない者だった。
彼は石を鯨の下なる球と呼び、巨人を石のアーリと呼び、黄金を巨人の声と呼んだ。

46

黄金がカワウソの賠償金と呼ばれるのは、どういうわけか。

次のように伝えられている。アースの神々、オーディンとロキとヘーニルが世界を見て回っていたとき、ある川に行き当たり、その川に沿って歩いて、ある滝にたどり着いた。滝のそばには一匹のカワウソがいて、滝から捕らえたサケを、目を閉じて食べていた。そこでロキは石を拾い、カワウソめがけて投げ、その頭に当てた。ロキは、一撃でカワウソとサケを捕らえたと、自分の獲物を自慢した。三人はサケとカワウソを取り上げて持ってゆき、ある農場に着いて家に入った。そこに住んでいた農場主はフレイズマルといった。威勢がよく、魔術にたいそう通じた男だった。アースの神々は一夜の宿を求め、食べ物なら十分に持っていると言って、農場主に獲物を見せた。

フレイズマルはカワウソを見ると、息子のファーヴニルとレギンを呼び、二人の兄弟であるオトルが殺されたことと、それをしたのが誰であるかを告げた。そこで父子はアースの神々に襲いかかり、捕らえて縛り上げ、あのカワウソはフレイズマルの息子だったと話した。アースの神々は命の身代金として、フレイズマルが自分で定めるだけの財宝を差し出すと申し出た。双方はこれで和解することにし、誓いを交わした。

それからカワウソの皮が剝がされた。フレイズマルはその皮袋を取り、赤い黄金で袋を満たし、そのうえ外側もすっかり覆うようにと三人に命じ、それを和解の条件とした。そこでオーディンはロキをスヴァルトアールヴヘイムへ遣わした。ロキはアンドヴァリという小人のもとに来た。小人は水の中で魚の姿をしていたが、ロキはこれを捕らえ、命の身代金として、岩の住まいに持っている黄金をすべて要求した。

二人が岩の中に入ると、小人は持っていた黄金をすべて運び出した。それはたいそうな財宝だった。そのとき小人は、小さな金の指輪を一つ、腕の下にさっと隠した。ロキはそれを見て、指輪を差し出すように命じた。小人は指輪を取り上げないでくれと頼み、それさえ持っていられれば、また財産を増やせるのだと言った。ロキは、一枚の金貨も残してやらないと言って、指輪を取り上げ、外へ出た。すると小人は、その指輪は持ち主を必ず死に至らせるだろうと言った。ロキはそれで結構だと答え、自分はこれから受け取る者たちの耳にその呪いを伝えるのだから、呪いはそのとおりに実現してよいのだと言った。

ロキはそこを立ち去り、フレイズマルのもとへ戻って、オーディンに黄金を見せた。オーディンは指輪を見ると、美しいと思い、それを財宝から取り分け、残りの黄金をフレイズマルに渡した。フレイズマルはカワウソの皮袋に入るだけ詰め込み、いっぱいになると立てて置いた。そこでオーディンが進み出て、黄金で皮袋を覆い、それからフレイズマルに、これですっかり覆われたか確かめるようにと言った。フレイズマルは目を向けて念入りに調べ、口ひげが一本見えているのを見つけると、それも覆うように求めた。そうしなければ和解は成り立たないというのである。そこでオーディンは指輪を取り出して口ひげを覆い、これでカワウソの賠償金を払い終えたと言った。

オーディンが槍を取り戻し、ロキも靴を取り戻して、もはや何も恐れる必要がなくなると、ロキは、あの指輪と黄金は持ち主の死を招くというアンドヴァリの言葉は、そのとおりになるだろうと告げた。そして後に、そのとおりになった。以上が、黄金がカワウソの賠償金、アースの神々の強いられた支払い、あるいは争いの金属と呼ばれるわけである。

47

黄金について、ほかにどのような話があるか。

フレイズマルはその黄金を息子の賠償金として受け取ったが、ファーヴニルとレギンは、兄弟の賠償金としてその一部を求めた。フレイズマルは黄金のうち一枚の金貨さえ二人に与えなかった。そこで兄弟は悪事を企て、黄金を手に入れるために父親を殺した。それからレギンは、黄金を二人で半分ずつに分けるよう、ファーヴニルに求めた。ファーヴニルは、黄金のために父親さえ殺した自分が兄弟に黄金を分けてやるなど、望めたことではないと答え、立ち去るようにレギンに命じた。さもなければフレイズマルと同じ目に遭わせるというのである。

ファーヴニルはそのとき、フレイズマルの持っていた兜を取って頭にかぶっていた。それは恐怖の兜と呼ばれ、目にする生き物はすべて恐れおののいた。また、フロッティという剣も手にしていた。レギンはレヴィルと呼ばれる剣を持っていた。レギンは逃げ去り、ファーヴニルはグニタヘイズへ上って、そこにねぐらを作り、大蛇の姿に変わって黄金の上に横たわった。

レギンはショーズにいるヒャールプレク王のもとへ行き、王に仕える鍛冶師となった。そこで彼はシグルズを養い子に迎えた。シグルズは、ヴォルスングの息子シグムンドと、エイリミの娘ヒョルディースとの間に生まれた息子だった。シグルズは、血筋においても、力においても、勇気においても、すべての武王のうち最も優れていた。レギンは、ファーヴニルが黄金の上に伏している場所を教え、黄金を取りに行くようシグルズをけしかけた。

レギンはグラムという剣を作った。それはあまりに鋭く、シグルズが流れる水の中に差し入れると、流れに運ばれて刃に触れた羊毛の房が真っ二つになった。続いてシグルズは、その剣でレギンの金床を、下の台木に至るまで断ち割った。その後、シグルズとレギンはグニタヘイズへ赴いた。シグルズはファーヴニルの通り道に穴を掘り、その中に身を置いた。ファーヴニルが水を飲みに這い出し、穴の上を通ったとき、シグルズは剣でその体を刺し貫き、命を奪った。

そこへレギンが来て、お前は私の兄弟を殺したのだと言い、和解の条件として、ファーヴニルの心臓を取り出して火で焼くように求めた。一方レギンは身を伏せてファーヴニルの血を飲み、それから横になって眠った。シグルズは心臓を焼き、十分に焼けたと思ったところで、指で触れて固さを確かめた。すると心臓から泡立つ汁が指に流れ落ち、熱かったので指を口に入れた。心臓の血が舌に触れると、鳥の言葉がわかるようになり、木に止まった小鳥たちが何を話しているのか理解できた。その一羽がこう言った。
あそこにシグルズが座っている、
血しぶきを浴びて、
ファーヴニルの心臓を
炎で焼いている。
指輪を惜しみなく与えるあの者が
輝く命の筋肉を
食べたなら、
賢いことだと思うのに。
あそこにレギンが寝ている、と別の一羽が言った、
ひとり心で策を練り、
あの若者を欺こうとしている、
自分を信じている若者を。
怒りに駆られ、
偽りの言葉をつなぎ合わせ、
災いを企む者は
兄弟の仇を討とうとしている。
そこでシグルズはレギンのもとへ行って殺し、それからグラニという自分の馬のところへ戻り、馬を駆ってファーヴニルのねぐらにたどり着いた。黄金を取り上げて振り分け荷にまとめ、グラニの背に載せると、自分もまたがって旅を続けた。以上が、黄金がファーヴニルの寝床、あるいは住まい、グニタヘイズの金属、あるいはグラニの荷と呼ばれる由来の物語である。

48

シグルズは馬を進め、山の上に一軒の家を見つけた。中では一人の女が眠っており、兜と鎖帷子を身に着けていた。シグルズは剣を抜き、鎖帷子を切り裂いて脱がせた。すると女は目を覚まし、ヒルドと名乗った。彼女はブリュンヒルドと呼ばれ、ワルキューレだった。

シグルズはそこから馬で旅を続け、ギューキという王のもとに来た。王の妻はグリームヒルドといい、二人の子供はグンナル、ヘグニ、グズルーン、グズニューだった。グトホルムはギューキの継子だった。シグルズはそこに長くとどまった。やがてギューキの娘グズルーンを妻に迎え、グンナルとヘグニはシグルズと義兄弟の誓いを交わした。

続いてシグルズとギューキの息子たちは、グンナルのために、ブズリの息子アトリのもとへ、その妹ブリュンヒルドとの結婚を申し込みに行った。彼女はヒンダルフィャルに住み、その館の周りには揺らめく炎が燃えていた。彼女は、あえてその炎を馬で乗り越える者だけを夫にすると誓っていた。

シグルズとギューキの一族は、ニヴルングの一族とも呼ばれるが、馬で山に上り、そこでグンナルが炎を乗り越えることになった。彼はゴティという馬を持っていたが、その馬は恐れて火の中へ飛び込もうとしなかった。そこでシグルズとグンナルは姿を取り替え、名も取り替えた。グラニはシグルズ以外の者を乗せて進もうとしなかったからである。シグルズはグラニに飛び乗り、揺らめく炎を乗り越えた。

その晩、彼はブリュンヒルドと婚礼を挙げた。だが二人が寝床に入ると、彼は剣グラムを鞘から抜き、二人の間に置いた。翌朝、起き上がって衣服を着ると、ロキがアンドヴァリから取り上げた金の指輪を、婚礼の贈り物としてブリュンヒルドに与え、その代わりに、彼女の手から別の指輪を記念に受け取った。シグルズは馬に飛び乗り、仲間のもとへ戻った。そこでグンナルとふたたび姿を取り替え、一同はブリュンヒルドを伴ってギューキのもとへ帰った。シグルズはグズルーンとの間に、シグムンドとスヴァンヒルドという二人の子をもうけた。

49

あるとき、ブリュンヒルドとグズルーンは髪をさらしに水辺へ行った。川に着くと、ブリュンヒルドは岸から川の中へ歩み入り、グズルーンの髪から流れ落ちる水を自分の頭にかけたくはない、自分の夫のほうが勇敢なのだからと言った。グズルーンはその後を追って川に入り、自分こそ上流で髪を洗ってよいはずだ、自分の夫ほど勇敢な者はグンナルをはじめ世界のどこにもいない、あの人はファーヴニルとレギンを倒し、二人の遺産を手に入れたのだからと言った。

ブリュンヒルドは答えた。「グンナルが揺らめく炎を乗り越えたことのほうが、もっと価値がある。シグルズにはその勇気がなかったのだから」

するとグズルーンは笑って言った。「炎を乗り越えたのがグンナルだと思っているのか。あなたと寝床を共にしたのは、この金の指輪を私にくれた人だと思う。あなたが手にはめている、婚礼の贈り物として受け取ったその金の指輪は、アンドヴァラナウトと呼ばれている。グンナルがグニタヘイズへそれを取りに行ったとは思わない」

ブリュンヒルドは黙り込み、家に帰った。その後、彼女はグンナルとヘグニをけしかけ、シグルズを殺させようとした。だが二人はシグルズと誓いを交わした仲だったので、弟のグトホルムをけしかけてシグルズを殺させた。グトホルムは眠っているシグルズを剣で刺し貫いた。シグルズは傷を受けると、去ろうとするグトホルムめがけて剣グラムを投げつけ、その体を胴の真ん中で真っ二つに切り裂いた。シグルズはそこで命を落とし、彼らに殺された三歳の息子シグムンドも死んだ。

その後、ブリュンヒルドは剣で自分を刺し、シグルズとともに火葬された。グンナルとヘグニはファーヴニルの遺産とアンドヴァラナウトを手に入れ、国々を治めた。

50

ブズリの息子でブリュンヒルドの兄弟であるアトリ王は、その後、シグルズの妻だったグズルーンを娶り、二人の間には子供が生まれた。アトリ王はグンナルとヘグニを自分のもとへ招き、二人はその招きに応じて出かけた。だが家を発つ前に、二人はファーヴニルの遺産である黄金をライン川に隠した。その黄金は、それ以来一度も見つかっていない。アトリ王は軍勢を待ち構えさせており、グンナルとヘグニと戦って、二人を捕らえた。アトリ王は、生きたままのヘグニの胸から心臓を切り取らせた。それがヘグニの最期だった。グンナルは蛇の囲いに投げ込ませたが、そこへひそかに竪琴が届けられた。両手を縛られていたので、グンナルは足の指で弾いた。その調べで蛇はみな眠り込んだが、一匹の毒蛇だけは眠らず、彼のもとへ這い寄って肋骨の下に噛みつき、傷口に頭を突っ込むと、彼が死ぬまで肝臓に食らいついていた。グンナルとヘグニは、ニヴルング一族ともギューキ一族とも呼ばれる。それゆえ黄金は、ニヴルング一族の財宝、あるいは遺産と呼ばれる。

それから間もなく、グズルーンは自分の二人の息子を殺し、その頭蓋骨を金と銀で飾った酒杯に作らせた。そしてニヴルング一族の葬宴が催された。その宴でグズルーンは、その酒杯でアトリ王に蜜酒を飲ませたが、そこには息子たちの血が混ぜてあった。また二人の心臓を焼かせ、王に食べさせた。それが済むと、彼女は数々の罵りの言葉を浴びせながら、王自身にそのことを告げた。強い酒には事欠かず、ほとんどの者が座ったまま眠り込んだ。その夜、グズルーンはヘグニの息子を伴って、眠っている王のもとへ行き、二人で襲いかかった。それがアトリの最期だった。二人は館に火を放ち、中にいた者たちは焼け死んだ。

その後、グズルーンは海辺へ行き、身を滅ぼそうと海に飛び込んだ。しかしフィヨルドの向こう側へ流され、ヨーナクル王の治める国にたどり着いた。王は彼女を見ると、自分のもとへ迎え入れ、妻にした。二人には三人の息子が生まれ、それぞれセルリ、ハムジル、エルプといった。三人とも、グンナルやヘグニやほかのニヴルング一族と同じく、髪の色はカラスのように黒かった。若きシグルズの娘スヴァンヒルドもそこで育った。彼女はあらゆる女の中で最も美しかった。

その評判を、強大なヨルムンレク王が聞きつけた。王は息子のランドヴェールを遣わし、自分のために彼女を妻に求めさせた。ランドヴェールがヨーナクルのもとへ着くと、スヴァンヒルドは彼に引き渡された。彼は彼女をヨルムンレク王のもとへ連れていくことになっていた。するとビッキ侯が、ランドヴェールこそスヴァンヒルドを妻にするのがふさわしい、二人とも若いのに、ヨルムンレクは年老いているのだから、と言った。若い二人はこの勧めをたいそう気に入った。すると今度は、ビッキがそのことを王に告げた。ヨルムンレク王は息子を捕らえさせ、絞首台へ引いていかせた。そこでランドヴェールは自分の鷹を取り、その羽をむしって、父に届けるように頼んだ。それから彼は吊るされた。

ヨルムンレク王は鷹を見ると、羽を失った鷹が飛べないように、年老いて息子も失った自分の王国も立ち行かないのだと思い至った。その後、ヨルムンレク王が従士たちを連れて狩りから戻り、森を出たとき、スヴァンヒルドが座って髪を日にさらしているのを見かけた。王たちは馬で彼女に乗りかかり、蹄で踏み殺した。

これを聞いたグズルーンは、息子たちをけしかけ、スヴァンヒルドの仇を討たせようとした。息子たちが旅支度をすると、彼女は、鉄の刃も通さないほど頑丈な鎖帷子と兜を与えた。そして、ヨルムンレク王のもとへ着いたら、夜、王が眠っているところを襲うようにと策を授けた。セルリとハムジルが王の手足を斬り落とし、エルプが首を落とすことになっていた。

道中、二人はエルプに、ヨルムンレク王に出会ったとき、おまえはどんな助けになるのかと尋ねた。エルプは、手が足を助けるように役に立つだろうと答えた。二人は、足が手に支えられるなどということは、まったくありえないと言った。母が憎しみのこもった言葉を浴びせて送り出したので、二人は母にひどく腹を立てており、母が何よりつらく思うことをしてやろうと、エルプを殺した。母が最も愛していたのがエルプだったからである。それから間もなく、歩いていたセルリが片足を滑らせ、とっさに手をついて体を支えた。そこで彼は言った。「今、手が足を助けた。エルプが生きていればよかったのに」

二人は夜、眠っているヨルムンレク王のもとへ行き、その手足を斬り落とした。王は目を覚まし、家来たちに呼びかけて起きるように命じた。するとハムジルが言った。「エルプが生きていれば、今ごろ首も落ちていたものを」

従士たちは起き上がって二人に襲いかかったが、武器では傷つけられなかった。そこでヨルムンレクは、石で打ち殺せと叫んだ。そのとおりにされ、セルリとハムジルはそこで倒れた。これでギューキの一族も子孫も、ことごとく死に絶えた。それゆえ鎖帷子は、ハムジルとセルリの衣、あるいは装束と呼ばれる。

51

若きシグルズの死後、アスラウグという娘が生き残った。彼女はフリュムダリルのヘイミルのもとで育てられ、その血筋から名だたる一族が生まれた。伝えられるところでは、ヴォルスングの息子シグムンドは、毒を飲んでも害を受けないほど強健だった。一方、その息子シンフィェトリとシグルズは皮膚がたいそう丈夫で、むき出しの肌に外から毒が触れても害を受けなかった。それゆえ詩人ブラギは、こう詠んだ。

古きリトの男たちに
組み討ちを挑む者の釣り針に、
身をくねらすウナギが、とぐろを巻いて掛かったとき、
ヴォルスング一族の飲み物のウナギが。

たいていの詩人はこれらの物語に基づいて詩を作り、そのさまざまなくだりを取り上げてきた。老ブラギは、ラグナル・ロズブロークについて作ったドラーパの中で、セルリとハムジルの死を詠んだ。

恐ろしい夢に驚いて
ヨルムンレクは目を覚ました、
血に染まった郎党とともに、
剣の奔流のただ中で。
騒乱が起きた、館で、
ラウドヴェールの第一の末裔の館で。
カラスのように黒い、エルプの兄弟が
悲嘆の恨みを晴らしたとき。

長椅子を越えて流れた、
攻め戦の妖精の血とともに床の上を、
死者の露が。そこには斬り落とされた
手も足も見分けられた。
血の混じった
ビールの盃の泉が、木々の頭に降りかかった。
そのさまはレイヴィの国の
葉に描かれている。

そこでは、取り囲むように、
王の床の馬の槽を、
ナグルファリの帆の帆柱たちが
釘を持たずに立っていた。
やがてセルリも
ハムジルも、申し合わせたとおりに、
硬い肩の塊で打たれた、
ヘルガウトの愛人の塊で。

鋼の奔流を駆る者は、激しく
ギューキの子孫を打たせた。
彼らが命を奪おうとしたからだ、
鳥のヒルドの愛する男から。
青い鎖帷子の白樺につけた
美しい裂け目の報いを、一同が返した。
額への打撃と刃が鳴り響いた、
ヨーナクルの息子たちに。

私はその死を見ている、美しい
武人たちの盾の面に。
レールの車の月を私にくれたのは
ラグナルだ、数々の物語とともに。

52

なぜ黄金はフロージの粉と呼ばれるのか。それには次の物語がある。オーディンの息子にスキョルドという者がおり、スキョルドゥング一族は彼の子孫である。彼は、今ではデンマークと呼ばれ、当時はゴートランドと呼ばれていた土地に住まいを定め、その国を治めた。スキョルドにはフリズレイヴという息子がおり、父の跡を継いで国を治めた。フリズレイヴの息子はフロージといった。彼が父の跡を継いで王位に就いたのは、皇帝アウグストゥスが全世界に平和をもたらしたころだった。そのころキリストが生まれた。フロージは北方諸国の王の中で最も強大だったので、デンマーク語を話す地域の全域で、その平和は彼の名に結びつけられ、人々はこれをフロージの平和と呼んでいる。父や兄弟を殺した者に出会っても、相手が自由の身であろうと縛られていようと、誰も手を下さなかった。盗人も追い剥ぎもおらず、一本の金の腕輪が、ヤラングルスヘイズに長い間置かれたままになっていたほどだった。

フロージ王は、フィヨルニルという王に招かれ、スウェーデンを訪れた。そのとき彼は、フェニヤとメニヤという二人の女奴隷を買った。二人は大柄で力が強かった。そのころデンマークで、二つのたいそう大きな挽き臼の石が見つかった。誰にも回せないほどの大きさだった。だが、その挽き臼には、挽く者が命じたものを挽き出すという性質があった。その挽き臼はグロッティといった。フロージ王にこの臼を贈ったのは、ヘンギキョフトという者だった。フロージ王は女奴隷たちを臼のところへ連れていかせ、黄金を挽くように命じた。二人はそのとおりにし、初めはフロージのために黄金と平和と幸福を挽き出した。ところが王は、カッコウが鳴きやんでいる間か、一つの歌を歌えるほどの時間しか、休息も睡眠も与えなかった。そこで二人は、『グロッティの歌』と呼ばれる歌を歌ったという。その歌はこう始まる。

今、私たちは来た、
王の館へ、
先を見通す二人、
フェニヤとメニヤが。
フリズレイヴの息子
フロージのもとで、
力ある娘たちは
女奴隷にされている。

歌が終わらないうちに、二人はフロージに敵対する軍勢を挽き出した。その夜、ミューシングという海の王がやってきてフロージを殺し、莫大な戦利品を奪った。これでフロージの平和は終わった。ミューシングはグロッティとフェニヤとメニヤを連れていき、塩を挽くよう二人に命じた。真夜中になると、二人はミューシングに、もう塩には飽きなかったかと尋ねた。彼はもっと挽くように命じた。二人がさらにしばらく挽くと、船は沈んだ。その後、その場所には渦が残り、海水が挽き臼の穴へ流れ込んでいる。そのとき海は塩辛くなった。

53

なぜ黄金はクラキの種と呼ばれるのか。デンマークのある王は、フロールヴ・クラキという名だった。彼は、何よりも気前のよさと勇敢さと謙虚さによって、昔の王たちの中でもとりわけ名高かった。その謙虚さを示す話として、よく語られるものが一つある。

ヴェッグという、幼く貧しい少年がいた。少年はフロールヴ王の館へやってきた。王はまだ若く、ほっそりした体つきだった。ヴェッグは王の前へ進み出て、見上げた。すると王が言った。「少年よ、私を見ているが、何か言いたいことがあるのか」

ヴェッグは言った。「家にいたころ、フレイズルのフロールヴ王は北方諸国でいちばん大きな人物だと聞いていた。ところが今、ここで高座に座っているのは、一本の小さな棒きれだ。それをあんたたちは王と呼んでいる」

王は答えた。「少年よ、おまえは私に名をくれた。これから私はフロールヴ・クラキと名乗ろう。だが、名づけには贈り物を添えるのが習わしだ。見るところ、おまえは名づけの祝いに私に贈る、私の喜びそうな品を何も持っていない。それなら、持っているほうが相手に贈ることにしよう」

王は自分の腕から金の腕輪を外して、少年に与えた。するとヴェッグは言った。「贈り物をしてくれる王たちの中で、あなたがいちばん幸せであるように。あなたを殺す者が現れたら、私がその者を殺すと誓う」

王は笑って言った。「ヴェッグはわずかなことで喜ぶものだ」

54

フロールヴ・クラキの勇敢さを示すものとして、次の話も伝えられている。ウプサラを治めていた王に、アジルスという者がいた。彼はフロールヴ・クラキの母ユルサを妻としていた。彼はノルウェーを治めるアーリという王と争っていた。二人はヴェーニという湖の氷の上で戦うことを取り決めた。アジルス王は姻戚のフロールヴ・クラキに使いを送り、援軍に来るよう求めた。そして遠征の間、その軍勢すべてに給金を払い、王自身にはスウェーデンの宝の中から望むものを三つ与えると約束した。フロールヴ王はサクソン人と戦争をしていたため、自ら赴くことはできなかったが、配下の十二人の狂戦士をアジルスのもとへ送った。その中にはベズヴァル・ビャルキ、勇敢なヒャルティ、果敢なフヴィートセルク、ヴェット、ヴェーセティ、兄弟のスヴィプダグとベイグズがいた。

その戦いでアーリ王と、その軍勢の大半が倒れた。アジルス王は死んだ王から兜ヒルディスヴィーンと馬フラヴンを奪った。そこでフロールヴ・クラキの狂戦士たちは、それぞれ黄金三ポンドの給金を求め、さらにフロールヴ・クラキのために選んだ宝を持ち帰らせるよう求めた。それは兜ヒルディゲルトと鎖帷子フィンスレイヴで、どちらも鉄の武器を受けつけなかった。それに、アジルスの代々の先祖が所有してきた、スヴィーアグリースと呼ばれる黄金の腕輪であった。ところが王は宝を一つも渡さず、給金も払わなかった。狂戦士たちは自分たちへの仕打ちを不満として立ち去り、事の次第をフロールヴ・クラキに伝えた。

王はただちにウプサラへの旅支度を始めた。船をフューリ川に入れると、十二人の狂戦士を連れて馬でウプサラへ向かった。誰にも身の安全の保証はなかった。母ユルサは彼を迎え、王の広間ではなく、客の宿舎へ案内した。彼らのために火が焚かれ、飲み物にビールが出された。するとアジルス王の家来たちが入ってきて、火に薪をくべ、フロールヴたちの衣服が燃えるほど火勢を強めた。そして言った。「フロールヴ・クラキとその狂戦士たちは、火からも鉄からも逃げないというのは本当か」

そこでフロールヴ・クラキも、仲間たちも一斉に立ち上がった。彼はこう言った。
「さらに火を大きくしよう、
アジルスの館で」
彼は盾を取って火の中に投げ込み、盾が燃えている間に火を跳び越え、さらに言った。
「火から逃げはしない、
その上を跳び越える者は」
家来たちも一人また一人と同じようにした。そして火を大きくした者たちを捕らえ、火の中に投げ込んだ。

そこへユルサが来て、黄金を満たした獣の角と、腕輪スヴィーアグリースをフロールヴ・クラキに渡し、軍勢のところへ馬で引き返すよう言った。一行は馬に飛び乗り、フューリスヴェッリルへと駆け下りた。するとアジルス王が完全武装の軍勢を率い、彼らを殺そうと追ってくるのが見えた。フロールヴ・クラキは右手を角の中へ入れて黄金をつかみ、道いっぱいにまき散らした。スウェーデン人たちはそれを見ると鞍から飛び下り、それぞれ拾えるだけ拾った。だがアジルス王は馬を進めるよう命じ、自らは勢いよく駆けつづけた。王の馬はスレングヴィルといい、あらゆる馬の中で最も足が速かった。

フロールヴ・クラキはアジルス王が迫ってくるのを見ると、腕輪スヴィーアグリースを取り、贈り物として受け取れと言って王の方へ投げた。アジルス王は腕輪のところへ馬を寄せ、槍の穂先で拾って、穂の根元の筒まで滑らせた。フロールヴ・クラキは振り返り、王が身をかがめるのを見て言った。「スウェーデン人の中で最も力ある者を、今や豚のようにかがませてやった」こうして二人は別れた。このことから黄金は、クラキの種、あるいはフューリスヴェッリルの種と呼ばれる。

詩人殺しのエイヴィンドはこう詠んだ。
戦の葱のウルよ、われらは
ホーコンの生涯を通じ、
鷹の山々の上に
フューリスヴェッリルの種を載せていた。

ショーゾールヴもこう詠んだ。
領主はユルサの子の種をまく、
己の側近たちの、
腕輪で明るく耕された
指の骨になじむ鳥たちの急な畑に。
非の打ちどころない国の支配者は、
クラキの輝く穀粒を降り注ぐ、
鷹の止まり場の土の肉の上に、
この私自身の鷹の止まり木に。

55

ホーロガランドの名のもととなったホルギという王は、ソルゲルズ・ヘルガブルーズの父であったと伝えられる。二人とも犠牲を捧げて祀られていた。ホルギの墳丘は、黄金か銀の層と、土と石の層を交互に積んで築かれた。黄金と銀は、捧げられた供物であった。

スクーリ・ソルステインソンはこう詠んだ。
スヴェルズ沖で富を求め、
レイヴニルの屋根の炎を赤く染めたとき、
軍勢に付き従うホルギの墳丘の屋根を、
私は腕輪とともにかき集めた。

56

古い『ビャルキの歌』には、黄金の多くの呼び名が挙げられている。そこではこう歌われている。

この上なく気前のよい王は
側近たちを養った、
フェニヤの骨折り仕事で、
ファーヴニルのミズガルズで、
グラシルの輝く葉で、
グラニの美しい荷で、
ドラウプニルの貴い滴で、
グラーヴヴィトニルの綿毛で。

気前のよい君主は惜しみなく差し出し、
人々はそれを受け取った、
シヴの頭皮を覆うものを、
弓の苦難の氷を、
しぶしぶ払われたカワウソの賠償を、
マルデッルの涙を、
オールンの火を、
イジの輝く言葉を。

戦をもたらす者は喜ばせた、
われらは美しく装って歩いた、
シャツィの集会の取り決めで、
大勢の戦士たちを、
ラインの赤い鉱石で、
ニヴルングの争いのもとで、
戦に勇敢な君主は。
バルドルたる彼は、それを惜しまなかった。

黄金は赤いので、ケニングでは手の火、関節の火、腕の火と呼ばれる。銀は白いので、雪、氷、霜と呼ばれる。同じように、黄金や銀を財布、坩堝、泡に結びつけて言い表してもよい。また銀も黄金も、手の石、あるいは首飾りを着ける習わしのあった誰かの首輪と呼ぶことができる。首飾りと腕輪は、別に断りがなければ、銀のものも黄金のものも指す。

美しきソルレイクはこう詠んだ。
王は家臣たちの輝く
鷹の止まり場へ、坩堝の荷を投げる。
若い君主は与える、
腕の燃えさしを。

エイナル・スカーラグラムもこう詠んだ。
国土を勇敢に守るルンドの領主は、
腕の炎を惜しみなく使う。
君主の家来たちに
ラインの石が尽きるとは思わない。

エイナル・スクーラソンはこう詠んだ。
血の炎の岩の海、その両側に、
財布の雪も火も横たわる。
宝を苦しめる者を
私は讃えねばならない。

同じ詩人はまたこう詠んだ。
日ごとに響きが起こる。だが、
ヘイティの馬の舷側の盾は、寛大な心で、
坩堝の白い吹きだまりの上の
海の炎を操る。
人々を倒す者は、あらゆる勇業を励むが、
鰻の鳴り響く道の火をもってしても、
秤皿の雪を
決して溶かし尽くすことはできない。

ここでは黄金を鰻の鳴り響く道の火と呼び、銀を秤皿の雪と呼んでいる。

メーラの詩人ソールズはこう詠んだ。
剣の寝床の黄金を持っていた、
良き父を、ヘルモーズは見る、
腕の溶岩の馬を送り出す、
黄金を減らす者の姿に。

57

男は黄金を砕く者と呼ばれる。黒きオッタルはこう詠んだ。
戦の熾火を砕く者の
厚意に、私はあずかりたい。
この館には、賢い王とともに、
何事にも勇む側近たちがいる。

また、黄金を送り出す者とも呼ばれる。エイナル・スカーラグラムはこう詠んだ。
黄金を送り出す者は、ユッグの蜜酒の
大地に、その酒を味わわせる。
王は勇士の軍勢を喜ばせる。
私もその厚意にあずかれる。

黄金を投げる者。ソルレイクはこう詠んだ。
黄金を投げる者は、その行いによって、
王の側近たちを己に忠実な者とする。

黄金を苦しめる者。ソルヴァルド・ブレンディスカールドはこう詠んだ。
黄金を苦しめる者は腕の熾火を投げる。
王は赤い富を与える。
悪しき民を滅ぼす者は、
グラニの荷を惜しみなく差し出す。

黄金に気前のよい者。次のように歌われている。
黄金に気前のよい者を私は得た。
戦の烽火の道に降る
炎の霰の木を讃える、
十の節を持つ頌歌ができあがった。

58

女は黄金と結びつけて言い表され、黄金の柳と呼ばれる。ハッラル・ステインはこう詠んだ。
葦の帯の道の琥珀を投げる者は、
ヴィズブリンディの猪の
冷たい塩の畑、その柳を
長く思いつづけるだろう。

ここでは鯨をヴィズブリンディの猪と呼んでいる。ヴィズブリンディは巨人で、沖の海で鯨を魚のように釣り上げた。鯨の畑とは海であり、海の琥珀とは黄金である。女は自らが与える黄金のセリヤであり、セリヤは柳を意味する木の名でもある。前にも記したように、女は女性形のあらゆる木の名と結びつけて言い表される。また、女は自らが与えるもののラーグとも呼ばれる。ラーグとは、森で倒れた木の名でもある。

蛇舌のグンラウグはこう詠んだ。
女は人の子らの争いのもとに育てられた。
戦の茂みが、その原因をつくった。
私は富の倒れ木を妻にしたいと、
激しく願っていた。

女は森とも呼ばれる。ハッラル・ステインはこう詠んだ。
私は詩の錐で、ビールの舳先のビルを削り出した。
美しい杯の森を、
リフレインの船の舳先の仕事に
心を尽くして仕上げた。

竿とも呼ばれる。ステインはさらにこう詠んだ。
川の火を守るシヴよ、ほっそりした竿よ、
お前も、ほかの多くの女と同じく、
己の運命を背に受けて、
ヒャズニングの石のように砕けるだろう。

支柱とも呼ばれる。オルム・ステインソンはこう詠んだ。
この上なく清らかなフィヨルドの骨の支柱は、
衣を着せられた。
槍先のフレイは新しい飾りを
蜜酒のフリストに掛けた。

柱とも呼ばれる。ステイナルはこう詠んだ。
首飾りの柔らかな台の、気前のよいシュンについて、
夢はことごとく私に偽りを告げた。
流れの月を動かすこの柱のために、
私は心を乱している。

樺とも呼ばれる。オルムはさらにこう詠んだ。
私が差し出す、掌のくぼみの
鳴り響く火の樺、その姿を
ビリングの息子の
満ちた杯に刻んだからだ。

樫とも呼ばれる。次のように歌われている。
美しく装った富の樫が、
われらの戯れを妨げて立つ。

菩提樹とも呼ばれる。次のように歌われている。
戦に勇敢な者よ、われら二人の勇気を
衰えさせてはならない、鋼の鳴る驟雨の楡よ。
この地で亜麻布の菩提樹が
そう命じたのだ。

59

前にも記したように、男は木々に結びつけて言い表され、武器や戦、旅や行動、船、また彼が操り、試みるものすべてのナナカマドと呼ばれる。

ウールヴ・ウッガソンはこう詠んだ。
大地の帯の硬い綱は、
船べりの向こうから、
国土の軍勢のナナカマドをぎらつく目で見つめ、
毒を吹きかけた。

木、あるいは大樹とも呼ばれる。コルマクはこう詠んだ。
槍の響きの中、殺しの枝の大樹は
多くの者にまさる。
剣は戦の木に、
シグルズ伯に、土地をもたらす。

木立とも呼ばれる。難詩人ハッルフレズはこう詠んだ。
東方では、髪を芽吹かせた、
盾の災いを振るう力強い木立が、
ウルのトネリコの若木たちにとって、
大きな支えとなっている。

ここでは若木という呼び名も用いられている。

柘植とも呼ばれる。アルノールはこう詠んだ。
ルーギルの館の柘植は、薄明かりのうちに、
盾と盾を合わせよと命じた。
争いの雲の雨は降りつづいた、
秋の夜が明けるまで。

トネリコとも呼ばれる。レヴはこう詠んだ。
気前よく与える、ハールの吹雪のトネリコは、
大いに栄えながら、
黄金を散らした娘の寝床へと進んだ、
激情のフレイは。

楓とも呼ばれる。次のように歌われている。
「よくぞ無事で来た」と、手の氷の楓は
鎖帷子にそう挨拶した。

木とも呼ばれる。レヴはこう詠んだ。
あらゆる戦の幸運を願い、
剣の木がそう取り計らうようにと、
恐怖の場を脅かすソルステインに
私はこの一事を定めた。

杖とも呼ばれる。オッタルはこう詠んだ。
カラスが飢えることのなかったその地で、
お前は、人々の一族を相手に、国土を守った、
猛々しい恐怖の杖よ、二人の王を相手に。
お前は決断の早い者だ。

茨とも呼ばれる。アルノールはこう詠んだ。
若い富の茨は、鷲のために
重い戦死者の山を積んだ。
側近たちは、鷲を養う者に、
その山が滑りやすいと告げた。

60

戦いはどのように言い換えるべきか。武器、盾、オーディン、ワルキューレ、軍勢を率いる王たちの嵐、あるいはその轟き、その響きと呼べばよい。ホルンクロヴィはこう詠んだ。
王は人々に槍の嵐を
浴びせた。傷の雁たちが
スコグルの轟きに鳴き立て、
赤い傷が血を噴き出すところで。

エイヴィンドはこう詠んだ。
そしてその男は
ハールの嵐のさなか、
藪に潜む仮面の獣の
黒ずんだ衣をまとっていた。

ベルシはこう詠んだ。
昔、われらが若かったころ、
そう語られているが、私は
戦いの火の木々のあいだで、
フレックの吹雪によく堪えると思われていた。

エイナルはこう詠んだ。
勇ましい王は、ゴンドゥルの轟く風を
ヒルドの帆に激しく受けさせる。
亜麻布はきしみ、そこでは
弦の雹が吹きつける。

鉢の響きのエイナルはこう詠んだ。
勝利の樺の衣は、
戦いの立派な木々を、
ヘグニの驟雨のさなか、ハールの響きから
固く縫い上げられていても守らなかった。

次の例も同じである。
穂先の轟きを起こす者に向かい、
穂先の網の縁綱を据える。

さらに、これもそうである。
ゴンドゥルの響きに敵は倒れ、
王のもとで鷲の爪にかかった。

61

武器と武具は、戦い、オーディン、戦乙女たち、軍勢を率いる王たちに結びつけて言い換えるべきである。兜は帽子あるいは頭巾、鎖帷子は上衣あるいは肌着、盾は天幕と呼び、盾を並べた囲いは広間、屋根、壁、床と呼ぶ。盾はまた、軍船に結びつけて、その太陽、月、葉、輝き、囲いと呼び、言い換える。盾はウルの船とも呼び、またフルングニルが盾の上に立ったことから、その足に結びつけて言い換える。昔の盾には、環と呼ばれる縁取りを描くことが多く、この環に結びつけても盾を言い換える。斧や剣などの斬りつける武器は、血あるいは傷の火と呼ぶ。剣はオーディンの火と呼び、斧には女の巨人の名を用い、それを血、傷、森、木に結びつけて言い換える。突き刺す武器は、蛇や魚に結びつけて言い換えるのがふさわしい。飛び道具は、雹、吹雪、激しい雨に結びつけて言い換えることが多い。これらの言い換えはすべて、さまざまに変化させられる。というのも、こうした言い換えを必要とする事柄の大半が、頌歌に詠まれるからである。戦士グルームはこう詠んだ。
軍勢はハンガテュールの帽子をつけ、
坂へ向かって進むのをためらった。
身を危険にさらすことが、
彼らには喜ばしく思われなかった。

鉢の響きのエイナルはこう詠んだ。
戦いに逸るシグヴァルディも、
兜の頭巾をかぶって戦いを挑んだ。
南からグンの轟きへ来た、
戦いに勇敢なブーイも。

ロージの上衣。ティンドはこう詠んだ。
ロージの道の馬が、鎖帷子の木々を
振り落として裸になったとき、
環をちりばめたハンギの鳴り響く上衣を
投げ捨てねばならなかった。

ハムジルの肌着。ハッルフレズはこう詠んだ。
波の獣の勇ましい木々のもと、
エギルの武器の鳴り響く雹が
ハムジルの肌着を激しく打ち、
ひときわ大きな音を立てる。

セルリの衣。同じ詩人はさらにこう詠んだ。
そこから、人々の輝くセルリの衣は、
そのことは私もよく聞いているが、
傷の火の削り屑の雨のなか、
血に赤く染まる。

フレックの天幕。グレッティルはこう詠んだ。
フレックの天幕を掲げる者たちは、
ヒルドの壁の鼻先を突き合わせ、
嵐のニョルズたちは
互いの顎鬚めがけて斬りつけ合った。

ロージの屋根。エイナルはこう詠んだ。
オーズの床の友の目から出る
堅い氷は、ロージの屋根の雨にも
減ることがない。
その王が老齢に達するように。

ヒルドの壁。これはグレッティルが詠んだ、すでに記した例にある。

船の太陽。エイナルはこう詠んだ。
オーラーヴの一族は海上で赤く染める、
船の太陽の炎を。

船首の月。レヴはこう詠んだ。
美しい日だった、美しい
腕の炎を投げ与える者たちが、
環の垂れ下がる道へと
船首の月を私に押しつけた日は。

船の囲い。次の例にある。
槍の轟きを高める者は、
石を塗りつけた船の囲いを
まるで樺の皮のように射抜いた。
その男は戦いに激しかった。

ウルの舟。ショーズオールヴはこう詠んだ。
ウルの船の吹雪が、王を囲んで
激しさを増してゆく。
釘を打ち合わせ、鞘の布をまとった
帆柱が揺れ動くところで。

フルングニルの足裏の葉。ブラギはこう詠んだ。
フラヴンケティルよ、聞きたいか、
石を美しくまとった、スルーズを
盗んだ者の足裏の葉と王を、
私がどのように讃えるかを。

詩人ブラギは、盾の環についてこう詠んだ。
シグルズの名高い息子が、
環を轂とする響き高い
ヘグニの娘の輪に、
十分な返礼を望んだのでなければ。

彼は盾をヒルドの輪と呼び、環をその輪の轂と呼んだ。

環の大地。ハッルヴァルズはこう詠んだ。
王は、槍の群れの環の大地が、
赤く輝き、曲線を刻まれて、
二つに割れて飛ぶのを見る。
白い盾が砕ける。

さらに、こうも詠まれている。
環は盾の上にこそ最も似つかわしく、
矢は弓の上にこそ似つかわしい。

剣はオーディンの火である。コルマークはこう詠んだ。
戦いを引き起こす者が、鳴り響く
ガウトの火を携えて進むとき、
グリーズの馬を養う者の戦いは膨れ上がった。
ウルズは泉から出てきた。

兜の火。ウールヴ・ウッガソンはこう詠んだ。
山々のヒルドは、力いっぱいに
海のスレイプニルを前へ歩ませた。
一方、フロフトの強い
兜の火たちは、その馬を倒した。

鎖帷子の火。グルーム・ゲイラソンはこう詠んだ。
大地の守り手は、砥石で薄く研いだ
鎖帷子の鳴り響く火を、そこで唸らせた。
その男は命を容易に捨てず、
人々を相手に身を守った。

盾の氷、および盾の破滅。エイナルはこう詠んだ。
公正な君主から私は受け取った、
赤い盾の氷を。
フレイヤの瞼の雪解けを浴びた
兜の破滅を、われらは手に持つ。

斧は盾の女巨人と呼ぶ。エイナルはこう詠んだ。
レーヴィルの大地の馬に乗る者たちは、
はっきりと見ることができる、
兜のグリーズの眉のそばに、
美しく彫られた竜がどう横たわるかを。

槍は蛇と呼ぶ。レヴはこう詠んだ。
盾の森の、私の暗い竜は、
人々が出会うところで、
樫の身を備え、荒々しく、
人の掌の上で戯れることができる。

矢は、弓、弦、盾、戦いの雹と呼ぶ。鉢の響きのエイナルはこう詠んだ。
轟きのログニルは、弓の雹を
フレックの帆から振り落とした。
剣の狼どもに容赦しない者は、
勇敢に命を守った。

また、ハッルフレズはこう詠んだ。
槍のロータの雁の飢えを
満たしてやる者たちを、
鉄を縫いつけたハンギの装いが、
弦の雹から守った。

また、詩人をしのぐエイヴィンドはこう詠んだ。
ホルド人の国の守り手よ、弓がしなり、
鎖帷子の雹が傷のなかで
砕けたときも、お前はほとんど
心をくじかなかったと、人々は語った。

62

戦いはヒャズニングの嵐、あるいは吹雪と呼び、武器はヒャズニングの火、あるいは杖と呼ぶ。これには物語がある。

ヘグニという王に、ヒルドという娘がいた。ヒャッランディの息子ヘジンという王が、彼女を戦利品として連れ去った。そのときヘグニ王は、王たちの会合に出かけていた。自分の国が襲われ、娘が連れ去られたと聞くと、ヘグニは軍勢を率いてヘジンを捜しに出かけ、ヘジンが陸沿いに北へ向かったと聞きつけた。ヘグニ王がノルウェーに来ると、ヘジンは海を西へ渡ったということだった。そこでヘグニはあとを追って、はるばるオークニー諸島まで航海した。ハーエイという島に着くと、そこにはヘジンが軍勢とともにいた。

ヒルドは父に会いに行き、ヘジンからの和解のしるしとして首飾りを差し出した。だがその一方で、ヘジンは戦う用意を整えており、ヘグニは彼からいささかの容赦も期待できないと言った。ヘグニは娘に冷たく答えた。ヒルドはヘジンに会うと、ヘグニはどのような和解も望んでいないと伝え、戦いの支度をするように言った。両者はそのとおりにし、島に上陸して軍勢を整えた。

そこでヘジンは、縁者であるヘグニに呼びかけ、和解と、償いとして多くの黄金を申し出た。ヘグニは答えた。「和解を望むなら、その申し出は遅すぎた。私はもうダーインスレイヴを抜いてしまったからだ。小人たちが作ったこの剣は、抜かれるたびに必ず人の命を奪う。斬りつけて外れることはなく、この剣で少しでも傷つけられれば、その傷は決して癒えない」

ヘジンは言った。「お前がそこで誇っているのは剣であって、勝利ではない。私は、主に忠実な剣なら、どれもよい剣と呼ぶ」

それから彼らは、ヒャズニングの戦いと呼ばれる戦いを始め、その日一日じゅう戦った。夕方になると、王たちは船に戻った。だがヒルドは夜のうちに戦死者たちのところへ行き、魔術を使って死んだ者をすべてよみがえらせた。翌日、王たちは戦場に出て戦い、前の日に倒れた者たちもみな同じように戦った。

この戦いは日ごとに繰り返された。倒れた者たちも、戦場に横たわる武器も、盾も、すべて石になった。だが夜が明けると、死んだ者はみな立ち上がって戦い、武器もすべて再び使えるようになった。ヒャズニングの者たちは、このようにしてラグナロクを待つのだと、詩には語られている。

詩人ブラギは、この物語をもとに『毛皮のズボンのラグナルの頌歌』を詠んだ。

63

戦いは、先に記したように、オーディンの嵐である。戦士グルームはこう詠んだ。
私はかつて、伯たちのように、
そのことは噂にもなったが、
ヴィズリルの嵐の杖の幹たちとともに、
自分の領地へと道を切り開いた。

ここでは戦いをヴィズリルの嵐と呼び、剣を戦いの杖、人々を剣の幹と呼んでいる。ここでは、戦いと武器の両方を、人を言い換えるために用いている。このように詠むことを、言い換えを重ねるという。盾は武器の大地であり、新たな比喩を展開して詠むならば、武器はその大地の雹、あるいは雨である。

64

船はどのように言い換えるべきか。海の王たち、海、船具、嵐の馬、獣、スキーと呼べばよい。

波の馬。ホルンクロヴィはこう詠んだ。
幼くして、断固とした決断を下す敵の打ち倒し手は、
最も高くそびえる淡い波の馬を、
船の舳先で押しやらせ、
海へと進ませた。

ゲイティの馬。エッリンガル・ステインはこう詠んだ。
たとえ人々がみな、南から戦が来ると
詩人に告げようとも、
このゲイティの馬に石を積もう。
われらは喜んで励む。

スヴェイジの馴鹿。
スヴェインの息子よ、勝利に勇むお前は、
船べりの長いスヴェイジの馴鹿に乗って、
セルシの長椅子の道へ来た。
海峡の獣たちは陸を離れて進んだ。

ハッルヴァルズはこう詠んだ。ここではまた、船を海峡の獣と呼び、海をセルシの長椅子と呼んでいる。

ソールズ・シャーレクソンはこう詠んだ。
太陽の板の馬は、北から来て、
シッギャの沖で揺れ動いた。
風はギュルヴィの道の喜びを、
アウマルの沖を南へと押し進めた。
やがて海鳥の道の馬は、
ケルムトとアグジルをともに船尾へ残した。
葱の馬はリスティの沖を泳いだ。

ここでは船を太陽の板の馬と呼び、海をギュルヴィの国と呼んでいる。海鳥の道とは海であり、馬とは船である。さらに、葱の馬とも呼んでいる。葱とは帆柱のことである。

また、マルクースはこう詠んだ。
フィヨルドの蛇の雪原を、
潮流の冬を過ごす者が力強く進んだ。
鯨の住まいを、吠え牙を持つ者は
帆桁の頂を越えて跳ねた。
潮の海のスキーが昔から通う道を、
熊は前へと進んだ。
驟雨に耐える熊は、岩礁の轟く枷を、
船の支えのもとで打ち砕いた。

ここでは船を潮流の熊と呼んでいる。熊には、冬を過ごす者、吠え牙を持つ者、ベルシという名があり、ここでは船の支えの熊とも呼ばれている。

船はまた、すでに記したハッルヴァルズの詩のように、馴鹿とも呼ぶ。また、シグルズの息子ハラルド王が詠んだように、鹿とも呼ぶ。
シチリアの沖、船腹は大きく海を切った。
そのころ、われらは誇り高かった。
平原の鹿の鋭い舳先は、男たちを乗せ、
望むままに滑らかに進んだ。

また、エイナルが詠んだように、大鹿とも呼ぶ。
環を散らす者よ、親しい友でも、
何も伴わなければ、
長くお前といることはできない。
われらは潮の大鹿を整える。

カワウソ。マーニはこう詠んだ。
海のカワウソに乗り、男たちに交じって、
しなびた老人よ、お前に何ができよう。
頬に白髪の生えた男よ、
お前の力は衰えてゆくのだから。

狼。レヴはこう詠んだ。
だが財宝を減らすソルステインは耳を傾けた。
私は、船曳きの丸太の狼の木に、
砥石の杖の戦いの言葉を語るにあたり、
忠実である。

また、牡牛とも呼ぶ。船はスキー、車、乗り物とも呼ぶ。功績を讃える詩人エイヨールヴはこう詠んだ。
日の暮れも近いころ、若者は
メイティのスキーに乗って、
等しい軍勢を率い、外海の勇ましい
領主を迎えに進んだ。

ステュルカール・オッダソンはこう詠んだ。
そして、潮の火を散らす輝かしい者を追い、
ヘグニの軍勢は勇み立ち、
船曳きの丸太の車を駆って、
ヘイティの雪原へと進んだ。

また、ソルビョルンはこう詠んだ。
船曳きの丸太の海の乗り物を積み上げる者は、
洗礼の泉にいた。
その財宝を散らす者は、白いキリストの
最も高い恩寵を得た。

65

キリストをどのように言い表すべきか。天と地、天使と太陽の創造者、世界と天国と天使たちの統べ手、天と太陽と天使たちとエルサレムとヨルダンとギリシアの王、使徒と聖人たちの支配者と呼べばよい。昔の詩人たちは、ウルズの泉やローマに結びつけてキリストを言い表した。エイリーヴ・グズルーナルソンはこう詠んだ。

岩山の神々の強き王は、こうして
ローマの国々におのが力を固めた。
王は南方、ウルズの泉のほとりに
座すと人は語る。

スカフティ・ソーロッズソンはこう詠んだ。

修道士たちの主の力は
この上なく大きい。神はあらゆることを成し遂げる。
力あるキリストは、世界のすべてを、
ローマの広間を創り、築き上げた。

天の王ともいう。マルクースはこう詠んだ。

嵐の館の王は大地と天を創り、
また忠実な軍勢をも創った。
ただひとりの君主、人の世のキリストは、
すべてを支配することができる。

エイリーヴ・クールナスヴェインはこう詠んだ。

世界を行く人々も人の群れも、
天の聖なる十字架にひれ伏す。
まことに、ただひとりの太陽の王は
ほかのいかなる栄光にもまして清らかだ。

マリアの子ともいう。同じくエイリーヴはこう詠んだ。

天の栄光の従者たちは
マリアの若き子にひれ伏す。
人々の君主はまことの力を振るう。
この方は人であり、神でもある。

天使たちの王ともいう。同じくエイリーヴはこう詠んだ。

神の友の尊い力は、
人の思いを超えて優れている。
それでも、惜しみなく与える天使たちの王は、
あらゆるものにまして聖く、尊い。

ヨルダンの王ともいう。シグヴァトはこう詠んだ。

かつてヨルダンの王は、
四人の天使を空から遣わした。
流れはその主の
聖なる髪を洗った。

ギリシア人の王ともいう。アルノールはこう詠んだ。

人々の死者のため、私は祈りを捧げた、
勇ましいギリシアとガルザルの守り手に。
そうして王から受けた
贈り物に報いるのだ。

エイリーヴ・クールナスヴェインはこう詠んだ。

天の栄光は人々の君主をたたえる。
この方は万物の王である。

ここで詩人は、まずキリストを人々の王と呼び、次には万物の王と呼んでいる。また、エイナル・スクーラソンはこう詠んだ。

国の民を守り、
全世界を抱く方は、
慈悲の光に満ちて、勇ましい王のために
天国を開かせた。

66

ここではケニングが重なり合うので、詩を読み解く者は、どちらの王が歌われているのか、文脈から判断しなければならない。ミクラガルズの皇帝をギリシア人の王と呼ぶのは正しく、エルサレムの地を治める王をエルサレムの王と呼ぶのも同じく正しい。また、ローマの皇帝をローマの王、イングランドを治める者をイングランド人の王と呼ぶこともできる。だが、先に記した、キリストを人々の王と呼ぶケニングは、どの王にも用いることができる。すべての王は、国土の支配者、国土の守り手、国土を求める者、近衛の統率者、国の民の守り手と呼んで言い表すことができる。エイヴィンド・スカルダスピッリルはこう詠んだ。

積荷のテュールの
命を奪った、
国土の支配者たちは、
エグロイで。

また、グルーム・ゲイラソンはこう詠んだ。

王は兜をいただき、イェート人たちの上で
砥石の谷を赤く染めた。
そこで槍の轟きのうちに、
国土の守り手は見いだされた。

ショーゾールヴはこう詠んだ。

気高く心楽しむ近衛の統率者が、
息子たちに残せるように、
おのが遺産と世襲の領地を。
それが私の願いだ。

エイナルはこう詠んだ。

心勇む民の守り手は、
勇ましい髪の山の上に蛇の頭飾りを戴く。
詩人は人々の前で語る、
ヘルダルの王の栄誉を。

また、貢納を納める王たちを従える王を、王たちの王と呼ぶのも正しい。皇帝は王たちのうちで最も位が高い。その次に、一国を治める王が来るが、詩に用いるあらゆるケニングでは、こうした王たちは互いに同格である。その次に来るのは、ヤルル、あるいは貢納王と呼ばれる者たちである。彼らもケニングでは王と同格だが、貢納王を一国の王と呼ぶことはできない。ヤルルの詩人アルノールは、ヤルルのソルフィンについてこう詠んだ。

人々よ聞け、心猛き
ヤルルたちの王がいかに攻めたかを。
海に対しても、力に満ちた王は
抗うことをやめなかった。

詩のケニングでその次に来るのは、ヘルシルと呼ばれる者たちである。彼らも王やヤルルと同じように、黄金を砕く者、財宝を惜しみなく与える者、旗を掲げる者、軍勢の統率者と呼んで言い表すことができる。また、軍の先頭に立つ者、戦いの先頭に立つ者と呼んでもよい。多くの国を治める一国の王は、自分とともに国を治める者として貢納王やヤルルを置くからである。王から遠く離れた国々で、国の法に従って裁きを行い、敵から国を守らせるのであり、そこでの判決も刑罰も、王自身のものと同じ効力を持たなければならない。

ひとつの国には多くの地方がある。王は慣例に従い、自分がその者の権限に委ねるだけの数の地方に、裁きをつかさどる者を置く。こうした者は、デンマーク語ではヘルシル、あるいはレンドル・マズと呼ばれ、ザクセンでは伯爵、イングランドでは男爵と呼ばれる。彼らもまた、統治を委ねられた領域において、正当な裁判官、正当な国土の守護者でなければならない。王が近くにいなければ、戦いでは彼らの前に旗を掲げなければならず、その場合、彼らは王やヤルルと同じ権限を持つ軍の指揮官となる。

その次に来るのは、ヘルドと呼ばれる者たちである。これは、家柄がよく、完全な権利を持つ農民たちをいう。財産を与える者、守る者、人々を和解させる者と呼んで言い表すことができる。これらのケニングは、首長たちにも用いることができる。

王やヤルルは、近衛兵や家臣と呼ばれる者たちを従者として伴う。レンドル・マズにも、その者に忠誠を誓った従者たちがいる。彼らはデンマークとスウェーデンでは近衛兵、ノルウェーでは家臣と呼ばれるが、それでも王の近衛兵と同じように誓いを立てる。昔は、王の家臣たちはたいてい近衛兵と呼ばれていた。ソルヴァルド・ブレンデュスカルドはこう詠んだ。

戦いに勇む王よ、幸いあれ。
そなたの勇ましい家臣たちもまた、
たたえるために作った私の詩を
口ずさんでいる。

ハラルド・シグルザルソン王は次の詩を作った。

王座の家臣たちの一団が、
全力を尽くしてヤルルのすぐ後につき、
充足を待ちわびる。
私の取り分は減りがちだと、たびたび思う。

首長の近衛兵や家臣は、側近の一団、従士団、報酬を受ける者たちと呼んで言い表すことができる。シグヴァトはこう詠んだ。

近ごろ水上で王の従士団が
その戦いをしたと聞いた。
槍先の嵐のうちでも、
それに次ぐものを、私は小さいとは数えない。

また、次のようにも詠んだ。

そのときは、弦の馬に乗る
この王の従士たちに、
武器の挨拶を前に、乙女が
蜜酒を運ぶのとは様子が違った。

首長が与える俸給や贈り物を、報酬という。黒のオッタルはこう詠んだ。

戦いの熾火を砕く者のもとで、
私は優れた人々の助けを得たい。
ここには、あらゆる務めをいとわぬ側近たちが、
賢い王とともにいる。

ヤルル、ヘルシル、近衛兵は、王の秘密を分かつ者、語り合う者、同じ席に座る者と呼んで言い表される。ハッルフレズはこう詠んだ。

戦いに強い王の相談相手は、
勇ましさを好み、怒りに燃え、
ヘグニの槌で打たれた衣を
おのが身のまわりで鳴り響かせる。

スネービョルンはこう詠んだ。

鋼の王たちの語らいの相手は、
舵の綱を張らせ、
船べりに打ち寄せる鳩の荒い波へと、
覆いの剣を押し当てさせる。

アルノールはこう詠んだ。

私の幼い息子たちは、
殺戮に知られた王の同席者の死をめぐり、
重い悲しみのしるしを
私に見せはじめる。

王の語らいの相手ともいう。ハッルフレズはこう詠んだ。

話はまとまり、そののち、
賢い考えを持つ王の語らいの相手は、
森に覆われたオーナルの
ひとり娘を妻とした。

人はまた、血筋によって次のように言い表すべきである。コルマクはこう詠んだ。

シュールの沼の歯、その酵母のラインを、
惜しみなく詩人たちに注ぎ出す私の歌を、
ハラルドをまことに試した者の息子よ、
聞き届けてくれ。

ここで詩人は、ヤルルを王をまことに試す者と呼んでいる。ヤルルのホーコンは、ヤルルのシグルズの息子である。一方、ショーゾールヴはハラルドについてこう詠んだ。

オーラーヴの父は
鉄の剣の嵐を強める。
どの勇猛な行いも、
たたえるにふさわしい。

また、こうも詠んだ。

ヤリスレイヴは見て取った、
その王がいかなる者かを。
聖なる王の兄弟は
前へと進み出た。

さらに、こう詠んだ。

息絶えたのだ、
すべての者をしのいだ男が、
鷹の止まり台の一族の子、
ハラルドの兄弟の息子が。

また、アルノールは『レグンヴァルド頌歌』でこう詠んだ。

軍勢に役立つヘイティの末裔は、
私と縁を結ぶことにした。
そのため、ヤルルとの姻戚の縁は、
私に名声を得る力を与えた。

また、ヤルルのソルフィンについてこう詠んだ。

マン島の南で、薄く鍛えた剣は
盾の下、年老いたレグンヴァルドの末裔のために
噛みついた。そこで強大な軍勢は
数を減らした。

さらに、こう詠んだ。

神よ、いと力あるトルフ・エイナルの
血筋を高める輝かしい者を災いから遠ざけよ。
私は尊い、誠実な王のために
慈悲を願う。

また、エイナル・スカーラグラムはこう詠んだ。

ヒルディタンの一族の柱にも、
恐れを奮い立たせる者よ、そなたより
気前のよい者は現れまい。
私はその誉れを支える務めを負う。

67

ケニングを用いない詩の表現とはどのようなものか。それぞれのものを、その名のとおりに呼ぶことである。詩には、ケニングを用いないどのような呼び名があるか。ブラグ、フロージュ、オーズ、メルズ、ロヴという。

老ブラギが、ある森を夕暮れ遅く馬車で通っていたとき、次のように詠んだ。そのとき女トロルが韻文で呼びかけ、そこを行くのは誰かと尋ねた。

私をトロルと人は呼ぶ、
住まいのフルングニルの月、
巨人の富を吸う者、
嵐の太陽の災い、
巫女の親しき連れ、
死者の地の守り手、
天の輪を呑みこむ者。
これをおいて、何がトロルか。

ブラギはこう答えた。

私を詩人と人は呼ぶ、
ヴィズルの心を鍛える者、
ガウトの贈り物を見いだす者、
出し惜しみしない歌い手、
ユッグのビールを運ぶ者、
詩を生む心、
歌を巧みに鍛える者。
これをおいて、何が詩人か。

また、コルマクはこう詠んだ。

シグルズの名高い息子のため、
私はさらに多くの誉れの歌を作る。
神々を和解させる者の飲み物で、彼に敬意を払う。
トールは戦車に座す。

また、ソールズ・コルベインソンはこう詠んだ。

誉れを惜しまず受ける盾の楓は、
あまたのスネッキャ船やクネッリ船、
長船を波の上で轟かせた。
詩人の歌は高まる。

メルズについては、ウールヴ・ウッガソンがこう詠んだ。

そこに、剣の雨を降らす者たちへの
賛歌が流れ着く、海へと。
私はさらに先に、より長い頌歌を作り上げた。
こうして捧げる。

ここでは、ロヴという言葉で詩を呼んでいる。

68

神々にはどのような呼び名があるか。縛る者たちという。エイヨールヴ・ダーザスカルドはこう詠んだ。

槍の担保を惜しまず与えるエイリークは、
神々の望みどおり、国土をおのが下に引き寄せ、
戦いを整える。

また、繋ぐ者たちともいう。フヴィンのショーゾールヴはこう詠んだ。

欺きに長けたトナカイは、骨の中で、
神々が分け取るには難しいものとなった。
兜を戴く神々の知恵の導き手は、
何がその原因だと言ったのか。

力ある者たちともいう。エイナル・スカーラグラムはこう詠んだ。

力みなぎる神々が、ホーコンの
支配を強めると私は歌う。

ユールの神々ともいう。エイヴィンドはこう詠んだ。

ユールの神々の酒宴を、
またも私たちは整えた、
君主をたたえる歌を、
石の橋のように。

ディーアルともいう。コルマクはこう詠んだ。

神々のフィヨルドを変える者に、
土地を得る者は額の帯をもって誉れを増す。
結ぶのはその者、まっすぐな帆桁を。
ユッグはリンドを得ようと呪術を使った。

69

天のこれらの呼び名は書き記されているが、私たちはそのすべてを詩の中で見いだしたわけではない。こうした詩の呼び名も、ほかの呼び名と同じく、一流の詩人たちの作品にそのような呼び名を見いだしてからでなければ、詩に用いる必要はないと私は考える。

天。フリュールニル、ヘイズソルニル、フレグミーミル、アンドラング、リョースファリ、ドリーヴァンディ、スカテュルニル、ヴィーズフェズミル、ヴェトミーミル、レイフト、フリョーズ、ヴィーズブラーイン。

太陽。スンナ、レズル、エイグローア、アルスキール、シューニ、ファグラフヴェール、リークンスキン、ドヴァリンの遊び相手、アールヴレズル、イヴレズル、ミュリン。

月。マーニ、新月、月の闇、年を数える者、ムリン、フェンガリ、グラーム、スキュンディル、スキャールグ、スクラーム。

70

大地にはどのような呼び名があるか。大地はヨルズと呼ばれる。ショーゾールヴが詠んだように。

指輪を鍛える伯は、槍先の驟雨、
激しい嵐を幾度も起こさせる、
そののちにようやく
大地を己のもとへ押し伏せる。

フォルドとも呼ばれる。オッタルが詠んだように。

戦いのバルドルは国土を守る。
これほどのことができる王は少ない。
鷲を喜ばせるオーラーヴは、
勇ましいスウェーデン人の王である。

グルンドとも呼ばれる。ハッルフレズが詠んだように。

島の枷の道たる広い大地は、
毒をたくらむ蛇に縛られ、樹のもとに横たわる。
砥石の国の財宝を損なう
ヘズのもとに。

ハウズとも呼ばれる。エイナルが詠んだように。

勇敢な男たちは剣で
輝かしい王たちの国土を厳しく守る。
荒れ狂う刃の嵐を受けて、
兜は幾度も裂ける。

ランドとも呼ばれる。ソールズ・コルベインソンが詠んだように。

ヴェイガでの戦いののち、
戦いを語る言葉には事欠かぬ、
国土は北からアグジルまで南へ、
いや、さらに遠くまで従った。

ラーズとも呼ばれる。オッタルが詠んだように。

カラスが飢えなかったその地で、
お前は決断も早く、恐れをなす杖よ、
二人の王を退け、猛々しく、
人々を相手に国土を守った。

フレズュンとも呼ばれる。ヴォル・ステインが詠んだように。

私は覚えている、かつて大地が
緑なすフレズュンの骨に彫られた口を
暗く開いて、デンマーク人が
送り届けた言葉に向き合ったことを。

フローンとも呼ばれる。ウールヴ・ウッガソンが詠んだように。

大地の帯の、こわばった綱は、
船べりの前で、国土の脚から
軍勢を試す者を鋭い目でにらみ、
毒を吹きかけた。

フィヨルギュンとも呼ばれる。ここに詠まれているように。

私は気前よく、言葉を惜しまなかった、
フィヨルギュンの鰻のエルディルの、
響く寝床たる鉄床の川の、
忠実な者よ、誉れと嵐があれ。

71

ヴァルグとは獣の名である。血や屍をその食べ物や飲み物と呼んで、この獣を言い表すのは正しい。ほかの獣をこのように言い表すのは正しくない。ヴァルグはまたウールヴとも呼ばれる。ショーゾールヴが詠んだように。

ゲリにはたっぷりと
もてなしが用意された、シグルズの息子が
北からやって来て、森から狼を
傷口へ誘い出したときに。

ここではゲリとも呼ばれている。フレキとも呼ばれる。エギルが詠んだように。

そのとき槍先の波は、
フレキが傷を裂き、
船首の頂で
カラスのために砕いた。

ヴィトニルとも呼ばれる。エイナルが詠んだように。

毒のように冷たいエルヴ川は、
傷の熱い波に赤く染まった。
ヴィトニルの温かなビールが、水とともに
カルムトの首飾りへ流れ込んだ。

ユルグとも呼ばれる。アルノールが詠んだように。

雌狼の悪しき一族が
夥しい屍を呑み込んだ。
緑の海は血を混ぜられて
赤くなった。

ヴァルグとも呼ばれる。イッルギが詠んだように。

わが主君が逃げる敵を追い立てたとき、
狼の望みはかなった、首飾りを切り散らす者が
森の暗い鱒を幾匹も
剣で刺し貫いたのだから。

これらもまた狼の呼び名である。ハッルが詠んだように。

王はヘイジンギの飢えを断ち、
灰色のギュルディルは傷口を味わい、
フェンリルの口辺を赤く染めた。
ウールヴは傷へ飲みに行った。

さらにソールズが詠んだように。

ギャールプの馬は血の中を歩み、
イームの群れはフレキの麦を
十分に得た。
ギュルディルはゲリのビールを味わった。

熊はフェトヴィーズニル、フーン、ヴェトルリジ、ベルシ、フレス、イーウグタンニ、イヴユング、グルーム、ヨルヴズ、ヴィルスカルプ、ベラ、ヨーレク、リティ、フレク、ブローム、ユシュングと呼ばれる。牡鹿はモートレズニル、ダラル、ダル、ダーイン、ドヴァリン、ドゥネイル、ドゥラスロールと呼ばれる。

72

次の馬の名が『ソルグリームの名詞列』に挙げられている。

フラヴンとスレイプニル、
名高い馬たち、
ヴァルとレットフェティ、
そこにはティヤルダリもいた。
グッルトップとゴティ、
ソーティの名も聞いた、
モールとルング、そしてマル。
ヴィッグとストゥーヴは
スケーヴァズとともにいた。
ブラッキは戦士を運び、
シルヴルトップとシニル、
ファークのことも私は聞いた、
グッルファクシとヨールは神々のもとに。
ブローズグホーヴィという馬は、
力あるアトリジを
運んだという。
ギースルとファルホーヴニル、
グレールとスケイズブリミル、
そこにはギュッリルの名もあった。

次の名は『カールヴの詩』に挙げられている。

ダグはドレスルに乗り、
ドヴァリンはモーズニルに、
ヒャルムはハーフェティに、
ハキはファークに。
ベリを殺した者は
ブローズグホーヴィに、
ハッディングたちの君主は
スケーヴァズに乗った。
ヴェーステインはヴァルに、
ヴィーヴィルはストゥーヴに、
メインショーヴはモールに、
モルギンはヴァクルに、
アーリはフラヴンに乗って、
氷上へと進んだ。
だが東ではもう一頭、
アジルスを乗せた
灰色の馬が、
槍に傷つき、身をひるがえした。
ビョルンはブラッキに乗り、
ビャールはケルトに、
アトリはグラウムに、
アジルスはスレングヴィに、
ヘグニはヘルクヴィに、
ハラルドはフェルクヴィに、
グンナルはゴティに、
シグルズはグラニに。

アールヴァクとアルスヴィズが太陽を引くことは、前に記したとおりである。フリームファクシ、またの名をフィヨルスヴァルトニルが夜を引く。スキンファクシ、またの名をグラズが昼に付き従う。

73

次の牡牛の呼び名が『ソルグリームの名詞列』にある。

老いた牡牛たちの名を
私は詳しく聞いた、
ラウズとヘーヴィル、
レキンとヒュール、
ヒミンフリョーズとアプリ、
アルヴとアルヴニの名を。

次は蛇の呼び名である。竜、ファーヴニル、ヨルムンガンド、ナズ、ニーズヘッグ、リン、ナズラ、ゴーイン、モーイン、グラヴヴィトニル、グラーバク、オーヴニル、スヴァーヴニル、グリーム。

牛には、牝牛、子牛、牡牛、若い牝牛、一歳の牛、若い牡牛、種牛という呼び名がある。

羊には、牡羊、種羊、牝羊、子羊、去勢した牡羊という呼び名がある。

豚には、牝豚、若い牝豚、種豚、牡豚、子豚という呼び名がある。

74

空と天候にはどのような呼び名があるか。空はギンヌンガ、中つ世界、鳥の世界、天候の世界と呼ばれる。天候には、暴風、順風、風雨、寒風、烈風、風という呼び名がある。『アルスヴィンの言葉』にはこうある。

人間のもとでは風、
神々のもとでは揺らす者、
大いなる神々は嘶く者と呼ぶ。
巨人たちは叫ぶ者、
妖精たちは轟き進む者、
ヘルでは響き渡る者と呼ばれる。

風はまた突風とも呼ばれる。

75

血や屍をその飲み物や食べ物と呼ぶだけで、ほかの言い方をする必要のない鳥が二種ある。カラスと鷲である。男性名詞で表されるほかの鳥はすべて、血や屍と結びつけて言い表すことができ、その場合、その名は鷲かカラスを指す。ショーゾールヴが詠んだように。

王は鷲を、血の雷鳥の
大麦で喜ばせる。
ヘルズ人の王は、ガウトの鎌を
血の白鳥の収穫へと運ぶ。
屍の禿鷲を養う者は、
海の鷲の群れに命じ、
己が守るべき浅瀬をことごとく、
槍先で南へ測らせる。

次はカラスの名である。クラーク、フギン、ムニン、ボルギンモージ、アールフログニル、アールタリ、ホルドボジ。エイナル・スカーラグラムはこう詠んだ。

軍勢を率いる者は、山に慣れた
カラスたちに腹いっぱい食わせた。
槍が鳴り響くなか、カラスは
雌狼の獲物で腹を満たした。

エイナル・スクーラソンはこう詠んだ。

尊い力を与える者は、戦いの鵜を、
輝く太陽のガルムという貴いものを操る。
フギンの荷の嘆きを、
嘆きが取り払う。

さらに彼が詠んだように。

戦いで男たちが倒れ伏すとき、
王の心は勇気に満ちて高ぶる。
青黒いムニンは
傷口から血を飲む。

ヴィーガ・グルームが詠んだように。

血の首飾りの女神の響きを求め、
盾を帯びて砂州に立ったとき、
ボルギンモージは
血の餌食を得た。

スクーリ・ソルステインソンが詠んだように。

私がアールフログニルに傷を与えた、
あの百人の群れの中で、
フヴィーティングたちのフレックが私を
最後に見ることはなかっただろう。

鷲には次の呼び名がある。アリ、ゲムリル、フレグスコルニル、エッグジル、ギンナル、ウンドスコルニル、ガッロープニル。エイナルが詠んだように。

ヤールンサクサの馬の黒ずんだ
口辺を、血で赤く染めた。
鷲はゲリの餌を引き裂いた。
鉄が鷲の食べ物を手に入れた。

オッタルが詠んだように。

鷲は飲み、雌狼は朝の食事を得る、
屍からひと口の飲み物を。
狼は幾度も顎を赤く染め、
鷲はそこで食べ物を得る。

ショーゾールヴが詠んだように。

女の狼は、つい先ほど、
古い鷲の姿をまとい、
物語を語る者たちの方へ
飛び来たった。

また、ここにあるように。

高遠なフレグスコルニルの蜜酒を、
私はお前たちのために丹念に醸そう。

さらにスクーリが詠んだように。

私は目を覚ましている、その前もその後も、
水の悲しみの鷹を支えていたときも。
ガッロープニルのよき語りに、
そのとき詩人はよく耳を傾ける。

76

海にはどのような呼び名があるか。マル、エーギル、ギュミル、フレール、ハヴ、レイズ、ヴェル、サルト、レグ、グレージルと呼ばれる。アルノールが詠み、前にも記したように。

人々よ聞け、気性の激しい
伯たちの王が、いかに海を進んだかを。
容赦を知らぬ君主は、海に抗って
押し進むことをやめなかった。

ここではセール、またエーギルと呼ばれている。マルとも呼ばれる。ホルンクロヴィが詠んだように。

人を倒す、海の歯の
振るい立つ蛇が、
誇りをかけ、聖所の道のネックヴィたちを
沖の海へ追い立てたとき。

ここにはレグの名も出ている。エイナルはこう詠んだ。

水は船を洗い、美しい
風見が鳴り響く。
海の波は船の群れを洗い、
両舷で海が轟く。

ここではフローズとも呼ばれている。レヴは、前にも記したとおり、こう詠んだ。

波の砕けるところで、ビョルンは幾度も
撚り綱の、飛沫に冷えたものを
エーギルの顎の中へ運ぶ、
ギュミルの巫女を。

ハヴとも呼ばれる。ハルヴァルズが詠んだように。

お前は西の大海へ船首を向けさせた、
堅い馬を駆る者よ、
すべての国土を取り巻くものの、
帯の氷を振るう者よ。

レイズとも呼ばれる。ここにあるように。

フィン人が滑り行く陸地を離れ、
われらは海へ進み出た。
船の道から、光線に照らされた
東の山々が見える。

ヴェルとも呼ばれる。エギルが詠んだように。

私は西へ海を越えて来た。
ヴィズリルの、思いの岸の海を
携えて。
これが私の旅である。

マルとも呼ばれる。エイナルが詠んだように。

冷たい海は、気前よい王の下で、
幾日も黒い船材を洗う。
嵐にねじられた弓の悲しみが、
メンの包みを彫り削る。

サルトとも呼ばれる。アルノールが詠んだように。

勇敢な民の王は、船腹を傾け、
東から塩の海を切り進んだ。
バーラの波の炎を減らす者に向かい、
荒天がシグトゥーナで襲いかかった。

グレージルとも呼ばれる。ボルヴェルクが詠んだように。

翌年、お前は美しい陸から
艦隊を整えて出した。
水は船を越え、輝く波の馬たちで
お前は海を切り進んだ。

ここでは海はギャールヴとも呼ばれている。ヴィージルとも呼ばれる。レヴが詠んだように。

船首を刻まれた、支え木の馬は、
その胸で板の世界をつかむ。
木は苦しみに耐え、海は
硬い舷を越えて内へ投げ込まれる。

フームとも呼ばれる。ブレンヌ・ニャールが詠んだように。

女よ、われら十六人は同時に、
四つの漕ぎ座で水を汲み出した。
波は高まり、海が
外洋船の船腹に吹きつけた。

これらもまた海の呼び名であり、船や金を言い表す際に、これらと結びつけるのは正しい。ラーンはエーギルの妻だったといわれる。ここにあるように。

海の熾火を空へ跳ね上げ、
海は力をみなぎらせて進んだ。
船首は雲を切り裂いたと思う。
ラーンの道は月を打ち上げた。

エーギルとラーンには九人の娘がいる。その名は前に記した。ヒミングレーヴァ、ドゥーヴァ、ブローズグハッダ、ヘヴリング、ウズ、フレン、ビュルギャ、ドレヴン、コールガである。エイナル・スクーラソンは、この詩節に彼女たちの名を六つ挙げた。

ヒミングレーヴァは、勇ましい者に向かい、
海の轟きを激しくかき立てる。

〔ヒミングレーヴァ、ウズ、ドゥーヴァ、ブローズグハッダ、コールガ、ヘヴリング〕。

フレンとも呼ばれる。ヴァルガルズが詠んだように。

泡が寝床に敷かれ、
膨れ上がる海は黄金と戯れた。
波は軍船の
恐ろしい頭を洗った。

ビュルギャとも呼ばれる。オッタル・スヴァルティが詠んだように。

磨いた舵で、呑み込むほど高い
波をお前たちは切り裂いた。
船台の馴鹿の檣頭では、
乙女たちが紡いだものが踊っていた。

ドレヴンとも呼ばれる。オルムが詠んだように。

麦芽汁の臼の鷹を
見守るスルーズは、あらゆる務めを果たす。
波の炎のロヴンは友への誠を守り、
過ちを正す。

バーラとも呼ばれる。ソルレイク・ファグリが詠んだように。

海は轟き、波は白い泡を
赤い船材の上へ運ぶ。
黄金で飾られた船台の野牛が
口を開くところで、海は灰色に白む。

ラーとも呼ばれる。エイナルが詠んだように。

勇敢な者たちはそれ以前に、
われらの友の前へ、舳先に向かって、
海が激しく打ち寄せたところで、
波を鎮めたことはなかったと思う。

フュッルとも呼ばれる。レヴが詠んだように。

山々が波の上へ崩れ落ちる。
グランミの橇の道で、いま荒れ立つ、
グシルの牛たちの綱の熊、
冬を越す熊が前へ進む。

ボジとも呼ばれる。ここにあるように。

砕け波が突然、私の上へ落ちた。
大海は己の家へ来いと招いた。
私は海の招きを受けなかった。

ブレキとも呼ばれる。オッタルが詠んだように。

砕け波が轟き、
板を壊し、船材の破滅が増した。
人々は激しい嵐に遭った、
海面に出た細い舷の上で。

ヴァーグとも呼ばれる。ブラギが詠んだように。

海の風を送り出す者は、
曲がったエーギルに奉納するつもりはなかった、
名高い鷗の細い綱を
トールの前で断ち切った、その者は。

スンドとも呼ばれる。エイナルが詠んだように。

私は船板で海峡を切り進んだ、
フルンドの南を。
気前よい君主との出会いで、
わが手は飾られた。

フィヨルドとも呼ばれる。エイナルが詠んだように。

次に私が見るのは、泡立つ海の
美しい衣に、見事に描かれた蛇。
フィヨルドの炎を贈る者よ、聞け、
私がそれをどのような言葉で語るかを。

セーグとも呼ばれる。マルクースが詠んだように。

海の太陽を振るう者を、私は
決して貶すことはしない。
鞘の鰻の神よ、
詩を損なう者こそ悪い者だ。

77

火の呼び名には何があるか。次の詩にあるとおりだ。
この火が燃えることはまれではない。
誠実な王は人里を焼き、
君主の前で館は煙を吐く。
マグヌースが火を放つのだ。

炎。ヴァルガルズはこう詠んだ。
石をも狂わす炎は、煤の中から
たちまち熾火を噴き上げ、家々を包んだ。
そのあとには煙が
柱となって立ちのぼった。

焚火。次の詩にあるとおりだ。
ハキは焚火で焼かれた、
波の通い路が押し寄せるところで。

熾火。グラニはこう詠んだ。
グランミの道の熾火が人々を倒したと思う。
王はそのように火を焚いたのだ。

燃えさし。アトリはこう詠んだ。
斧は血に染まり、おびただしい燃えさしが育ち、
館には炎が上がる。
家々は焼け、火炎は荒れ狂い、
立派な人々が血の中に倒れる。
ここでは火はまた火炎とも呼ばれている。

火煙。次の詩にあるとおりだ。
大王の館が燃えた。
火が広間を倒したのだと思う。
ニズ川のほとりで、火煙は兵たちの上に
館の霜を降りかけた。

烈火。アルノールはこう詠んだ。
怒れる、島のデーン人を打ち倒す者は、
ラウマルの民への処置を容赦しなかった。
ヘイナルの民の脅しは弱まり、
烈火が彼らをおとなしくさせた。

火焔。エイナルはこう詠んだ。
火焔はたちまち燃え上がり、
たちまち逃げた、
ヒーシングの軍勢は。
劣勢に立たされた者たちだ。

猛火。ヴァルガルズはこう詠んだ。
明るい猛火が揺らめいた。
ヴァイキングたちは激しく打ち砕いた、
力ある王の城の砦を。
それは乙女に悲しみをもたらした。

火光。ハルドール・スクヴァルドリはこう詠んだ。
あなたがたはそこで、彼らの宝を
分け合うことができた。王よ、あなたは一度も
勝利を奪われたことがない。
火光はあの住まいを包んだ。

78

時を表す名には次のものがある。世、昔、時代、遠い昔、年、半年、冬、夏、春、秋、月、週、昼、夜、朝、夕、宵、早朝、早く、遅く、その折に、おととい、つい先ほど、昨日、明日、ひととき、時刻。

『アルスヴィンの言葉』には、さらに次のような夜の呼び名がある。
人の間では夜と呼ばれ、
神々の間では暗夜、
大いなる神々は覆いと呼ぶ。
巨人たちは憂いなき時、
妖精たちは眠りの喜び、
小人たちは夢の女神と呼ぶ。

秋分から、太陽が午後半ばの方角に沈むようになるまでが秋である。そこから春分までが冬である。そこから移住日までが春である。そこから秋分までが夏である。冬の直前の月は秋の月と呼ばれ、冬の最初の月は屠殺の月と呼ばれる。次は霜の月、次は雄羊の月、次はソッリ、次はゴーイ、次は独り月、次はカッコウの月で種蒔きの季節、次は卵の季節で羊囲いの季節、次は太陽の月で山の牧舎の月、次は干草作りの繁忙期、次は穀物刈りの月である。

79

人を表す、ケニングではない呼び名には何があるか。一人ひとりは人である。人の称号のうち第一で最も高いものは、その人が皇帝と呼ばれることであり、その次が王、その次が侯である。この三者には、以下の呼び名がすべて共通する。

全権の王。次のように詠まれている。
船の座を治める王たちを、東にも南にも、
私はことごとく知っている。
試してみれば、スヴェインの息子は
どの王よりも優れている。
ここでは王という呼び名も用いられている。自分の国のすべてを独りで支配するので、全権の王と呼ばれるのである。

陣を組む者。ギズルはこう詠んだ。
陣を組む者は戦いの中で
女巨人の馬とフレックの白鳥を喜ばせる。
オーラーヴは戦の嵐の中で、
ユッグの雁、スコグルの喜ぶ鳥をもてなす。
王が陣を組む者と呼ばれるのは、自分の軍勢を陣列に並べるからである。

導く者。黒いオッタルはこう詠んだ。
導く者は東で、戦のフレイの
望みの妻を、確かに思いどおりに得る。
世の全権の王は
幸せに生きている。

主、あるいは君主。アルノールはこう詠んだ。
主はシェトランドの剣の雷鳴の
一つひとつで勝利を得た。
詩人は王の栄光を高めたい。
その王は人々のうち最も高い者だった。

軍を導く者というのは侯の呼び名であり、王もまたこう呼ばれる。軍勢を戦いへと導くからである。ショーゾールヴはこう詠んだ。
軍を導く者たちを倒す者は、捕らえた者たちの
目を頭から突き抜かせた。
私はその王を褒めたたえる。
塚の主を追い立てた王を。

シニョール、あるいはセニョール。シグフヴァトはこう詠んだ。
ノルウェーの主よ、今こそ貧しい者にも、
富める者と同じく、あなたの法の恩恵を与えよ。
惜しみなく与え、
約束を守れ。

気前よき者。マルクースはこう詠んだ。
気前よき者は蛮民を火で攻め、
そのとき人々には死が定められた。
盗人を抑える者よ、あなたは南のヨームで、
ひときわ高く火の輝きを燃え立たせた。

誉れ高き者。ハルヴァルズはこう詠んだ。
大地の榛の下、僧たちの主の
近くにいる者のうち、あなたより近い
誉れ高き者はいない。土の支配者の言葉を破る者よ、
デーン人たちを救いたまえ。

国土を駆ける者。ショーゾールヴはこう詠んだ。
非の打ちどころなき、国土を駆ける者は、
クラキの輝く大麦を惜しみなく撒く。
これは前にも書いたとおりである。この名で呼ばれるのは、軍を率いて他の王たちの国を駆けめぐり、あるいは敵軍を自分の国から追い払うからである。

80

ハールヴダン老王と呼ばれる王がいた。あらゆる王のうち最も名高い王だった。冬のさなかに大きな供犠を催し、自分が三百年のあいだ王位にあって生きられるようにと祈った。だが、授けられた答えは、長い人の一生を超えて生きることはないが、その一族には三百年のあいだ女も身分の低い男も生まれないだろう、というものだった。王は大いなる戦士であり、東方の地を広く遠征した。そこでシグトリュッグという王を一騎討ちで倒した。それから、ホールムガルズのエムンド王の娘、賢いアルヴィグと呼ばれる女性を妻に迎えた。二人には十八人の息子が生まれ、九人ずつ同時に生まれた。その名は次のとおりである。

一人目はセンギルで、人々のセンギルと呼ばれた。二人目はレーシル、三人目はグラム、四人目はギュルヴィ、五人目はヒルミル、六人目はヨヴル、七人目はテュッギ、八人目はスキュリ、あるいはスクーリ、九人目はハッリ、あるいはヘッラである。この九人の兄弟は戦でたいそう名高くなったので、その後のあらゆる伝承では、その名が王や侯という名と同じく、身分を表す称号として用いられている。彼らには子がなく、全員が戦いで倒れた。

黒いオッタルはこう詠んだ。
センギルは若いときからすでに
力にあふれ、戦いを惜しまなかった。
その命が保たれるようにと願う。
私は彼を人の上に立つ者と認める。

マルクースはこう詠んだ。
レーシルは赤く染まった頭から、
海の山々へラインの太陽を輝かせた。

エギルはこう詠んだ。
グラムは大地の囲いの岩々を
押し上げた。

エイヴィンドはこう詠んだ。
陽気なギュルヴィは、
国を守るべく、
金の兜の下に立ち、
人々の息子らと戯れた。

グルーム・ゲイラソンはこう詠んだ。
ヒルミルは兜の下で、
ゴートの者たちの上に砥石の谷を赤く染めた。

黒いオッタルはこう詠んだ。
ヨヴルよ、歌の初めを聞きたまえ。
王への賛辞は大きくなるだろう。
わが誉め歌の律を正しく聞き取られよ、
ご自身をたたえる詩の律を。

ストゥーヴはこう詠んだ。
栄光に駆り立てられたテュッギは、
両手で戦士たちの群れを斬った。
喜び勇む軍勢は盾の下に進んだ、
あの南方のニズ川の沖で。

ハッルフレズはこう詠んだ。
私はスキュリから引き離された。
詩人たちの悪口がそうさせた。
人々の主に抱く好意と、英雄への
敬慕は深く、多くの者にはうかがい知れない。

マルクースはこう詠んだ。
デーン人の国土を治める、鷹の心を持つハッリを、
私は誉れ高い賛歌へと招く。

ハールヴダンとその妻には、さらに九人の息子がいた。その名は次のとおりである。ヒルディル。その子孫がヒルディング一族である。二人目はネヴィル。その子孫がニヴルング一族である。三人目はアウジ。その子孫がエズリング一族である。四人目はイングヴィ。その子孫がイングリング一族である。五人目はダグ。その子孫がデグリング一族である。六人目はブラギ。その子孫がブラグニング一族である。これは気前よいハールヴダンの一族である。七人目はブズリ。その子孫がブズルング一族である。ブズルング一族からアトリとブリュンヒルドが出た。八人目はロヴジ。大いなる戦の王だった。ロヴダルと呼ばれる軍勢が従っていた。その一族はロヴズング一族と呼ばれる。この一族から、ファーヴニル殺しのシグルズの母方の祖父、エイリミが出た。九人目はシガル。その子孫がシクリング一族である。これは、ヴォルスングの姻戚だったシグゲイルの一族と、ハグバルズを吊るし首にしたシガルの一族である。

ヒルディング一族から、黒いハールヴダンの母方の祖父、赤髭のハラルドが出た。ニヴルング一族の出がギューキ、エズリング一族の出がキャール、ユルヴィング一族の出が言葉の賢いエイリークである。次の王家もまた名高い。イングリング一族の祖イングヴィの家系、デンマークのスキョルドを祖とするスキョルドゥング一族、フランクの国のヴォルスングを祖とする、ヴォルスング一族と呼ばれる人々である。スケルヴィルという戦の王もいて、その一族はスキルヴィング一族と呼ばれる。この家系は東方の地にある。今挙げたこれらの一族の名は、詩の中ではすべて身分を表す称号として用いられている。

エイナルはこう詠んだ。
島のかたわらでヒルディングたちが
槍の集いを催そうと進んだと聞いた。
菩提樹の盾は青ざめた。
灰色の盾は真っ二つに裂けた。

グラニはこう詠んだ。
デグリングは鷲の雛に
デーン人の血を飲ませた。

グナエヴァズの詩人ガムリはこう詠んだ。
若いエズリングは、自らの若い歯と
言葉の力によって、
船の内で、釘舟の舌の上にいた
中ほどの丸太を殺した。

ヨールンはこう詠んだ。
ブラグニングは蛮民の群れを血に染めた。
軍勢は王の怒りを受けた。
燃えさしの前に、
家々は幾度も倒れた。

エイナルはこう詠んだ。
ブズルングの剣が食い込み、
血が槍の上に流れた。
[ヒルドの雲は裂けた、
フヴィータビューのほとりで。]

アルノールはこう詠んだ。
その息子は沖で、シクリングたちの船を
大きく傾かせるのを常とする。
彼は軍船の内側を血で染める。
それはカラスにとってよいことだ。

ショーゾールヴはこう詠んだ。
勇敢なシクリングの生涯はそのように終わり、
われらはみな苦しい境遇にある。
誉れ高きロヴズングは
命を失った。

ロヴジ王には、ロヴダルという軍勢が従っていた。

アルノールはこう詠んだ。
王よ、日の下に、あなたより優れた
別のスキョルドゥングが生まれることは決してない。

ヴォルスング。槌の詩人ソルケルはこう詠んだ。
ヴォルスングたちの末裔は、
冷たい海を越えて、
金で飾った武器を
私に送ってくれた。

イングリング。黒いオッタルはこう詠んだ。
戦にすばやいイングリングで、あなたより前に、
西の島々から東へと
地上を己の下に従えた者は、
誰もいなかった。

イングヴィ。これも王の呼び名である。マルクースはこう詠んだ。
世の人々はエイリークの賛歌を聞こう。
これにまさるセンギルを知る者はいない。
イングヴィは、この世で長く誉れを保ち、
王たちの座を占めた。

スキルヴィング。ヴァルガルズはこう詠んだ。
船々の震えるところ、スキルヴィングは
広い国々の沖に大軍を率いた。
南方のシチリアは
ついに荒らし尽くされた。

シニョール。シグフヴァトが詠み、前にも書いたとおりである。
ノルウェーの主よ、今こそ貧しい者にも恩恵を与え、
惜しみなく施せ。

81

詩人はグレップと呼ばれ、詩の中では、望むなら誰をこう呼んでもよい。レックと呼ばれたのはハールヴ王に従った人々であり、その名から戦士がレックと呼ばれる。また、すべての人をこう呼んでもよい。前に書いたとおり、詩の中では人々はロヴダルとも呼ばれる。スカトニと呼ばれたのは、気前よいスカティと呼ばれた王に従った人々である。その名から、気前のよい者はみなスカティと呼ばれる。ブラグニというのは、老ブラギ王に従った人々である。ヴィルザルというのは、人々の訴えを裁く者たちである。フュルザル、フィラル、ヴェラルというのは、国を守る人々である。ヴィーキングとフロトニは船の軍勢である。ベイマルとは、ベイムニ王に従った人々の名だった。グムナル、あるいはグマルというのは、群れを率いる者たちであり、婚礼で花婿をグミと呼ぶのと同じである。

ゴトナルという呼び名は、ゴティという王の名に由来する。ゴトランドという地名もこの王に由来する。王の名はオーディンの名にちなんだもので、ガウトという名から取られている。ガウトランド、あるいはゴトランドは、オーディンの名にちなむ地名であり、スウェーデンはスヴィズルの名にちなむからである。これもオーディンの呼び名である。当時、オーディンの領有する大陸部全体はレイズゴタランドと呼ばれ、島々はすべてエイゴタランドと呼ばれた。今ではこれがデーン人の国とスウェーデン人の国と呼ばれている。

ドレングというのは、まだ所帯を持たず、富や名声を得ようとしている若者たちである。国々を渡り歩く者は旅のドレング、首長たちに仕える者は王のドレングと呼ばれる。また、有力者や農場主に仕える者もドレングである。勇敢で向上心のある人々もドレングと呼ばれる。セッグ、クニー、リジとも呼ばれるが、これらは従者のことである。セグンとヘルドは農場主を指す呼び名である。リョーナルというのは、人々の和解を取り持つ者たちである。

人にはまた、次のような呼び名がある。カッピ、ケンパ、ガルプ、スニッリング、フレイスティマズ、ハルズメンニ、アヴァルメンニ、ヘティヤ。これらに対して、臆病な者には次の呼び名がある。ブラウズ、ヴェイク、シャルヴ、シルヴィング、ブロタマズ、スカウズ、スクレーヴァ、スクリャーズ、ヴァーク、ヴァーム、レーラ、スレイマ、テイザ、ドゥッガ、ダーシ、ディロック、ドゥシルメンニ、エルムサ、アウヴィルズ、ヴィールメグ。

気前のよい人はミルディング、メーリング、スカティ、ショーズスカティ、グッルスカティ、マンバルド、セーリング、セールケリ、アウズキーヴィング、リークメンニ、ヘヴディングと呼ばれる。それに対して、フネッグヴィング、グレッグヴィング、メーリング、ヴェサリング、フェーニージング、ギョヴラティという呼び名がある。

賢者はラードヴァルドと呼ばれる。愚かな人はまた、フィーヴル、アヴグラピ、ガッシ、ギンニング、ガウル、グロープ、スナープ、フォーリ、エール、オーズ、ガリンと呼ばれる。身なりのよい人は、オヴラーティ、ドレング、グレージマズ、ステルティマズ、プリーズィマズと呼ばれる。フラウミ、スクラープ、スクロック、スケイズクロヴィ、フランギ、スリンニ、フョースニ、スラープ、ドレットという呼び名もある。

リューズ、あるいはリョーズというのは、国の民のことである。奴隷はまた、ケヴシル、ショーン、エンヌング、シルと呼ばれる。

82

一人ひとりは人と呼ばれ、
二人なら一組、
三人なら群れ、
四人は道連れ、
五人の男は一団、
六人なら一隊、
七人で船の一組を満たし、
八人は告発の員数を担い、
九人は仲間、
十人なら徒党、
十一人は使節、
行列となるのは、
十二人が連れ立つとき、
十三人は人だかり、
十四人は旅の一行、
集会となるのは、
十五人が集まるとき、
十六人は居合わせた一座、
十七人は集う衆、
敵は十分に多いと思われる、
十八人に出会う者には。
一群を従えているという、
十九人の男を従える者は。
二十人の男は従士団。
三十人は民、
四十人は民衆、
五十人は陣列、
六十人は集団、
七十人は戦士の群れ、
八十人は人々、
百人は軍勢。

83

さらに、人の名の代わりに用いられる呼称がある。これを関係による呼称、特徴による呼称、あるいは代称という。関係による呼称とは、別のものをその本来の名で挙げ、呼ぼうとする人物をその所有者と呼ぶこと、あるいは、挙げたものの父や祖父と呼ぶことである。曾祖父は三代目に当たる。また、息子、世継ぎ、相続人、子、赤子、子息、跡継ぎともいう。また、兄弟、血を分けた者、同腹の兄弟、はらから、同胞ともいう。また、子孫、甥、一族の者、末裔、血を引く者、親族、一門の幹、後裔、家系の柱、一族の枝、血筋の分かれ、家系の分かれ、子、子孫、家系の本幹、血統ともいう。また、姻戚、縁者、婚姻で結ばれた者ともいう。また、友、相談相手、助言者、語り相手、秘密を語る友、話し相手、人の世の連れ、親友、同席者、席を並べる仲間ともいう。漕ぎ座の仲間とは、船の半区画をともにする者のことだ。また、敵、仇、対抗者、敵対者、滅ぼす者、害をなす者、殺す者、圧迫する者、沈める者、容赦のない者ともいう。これらの呼称を、関係による呼称という。名のある自分の屋敷や船、また固有の名を与えられた所有物に結びつけて人を呼ぶ場合も同じである。

特徴による呼称とは、人を知恵者、思索家、弁舌家、知略に優れた者、財を惜しまず与える者、怠らぬ者、用心深い者、華やかな者と呼ぶことである。これらが代称である。

84

詩で用いる、他のものに結びつけない女の呼称には次のものがある。妻、花嫁、婦人とは、男に嫁がされた女をいう。華やぐ女、着飾る女とは、大いに気位を高く持ち、身を飾る女をいう。賢婦とは、言葉の巧みな女をいう。淑女とは物静かな女をいい、威張る女、高慢な女とは、おごり高ぶる女をいう。気丈な女とは、気性のしっかりした女をいう。貴婦人とは、最も力ある女をいう。恥じらう女とは、若い乙女や気の弱い女のように、引っ込み思案な女をいう。留守妻とは、夫が国外へ出かけている女をいう。夫を奪われた女とは、夫を殺された女をいう。寡婦とは、夫が病死した女をいう。誰もが初めは乙女と呼ばれ、年を取った女は老婆と呼ばれる。ほかに、悪口に用いられる女の呼称もあり、ここには書かないが、詩の中に見いだすことができる。一人の男を共有する女たちは、相妻という。息子の妻は嫁という。夫の母は姑という。また、母、祖母といい、三代目は曾祖母である。母を、おふくろともいう。また、娘、子、赤子ともいう。また、姉妹、女神、子の女神ともいう。女はまた、その夫の床の伴侶、語り相手、秘密を語る相手とも呼ばれ、これは関係による呼称である。

85

人には頭というものがある。これを言い換えるには、首の労苦や荷、兜や帽子、脳、髪や眉、頭皮、耳、目、口の土地と呼ぶ。また、ヘイムダルの剣ともいう。ここでは、どの剣の呼称を選んでもよく、それをヘイムダルのいずれかの名に結びつければよい。頭を、他のものに結びつけずに呼ぶ名には、頭蓋、脳蓋、顎骨、頭頂がある。目は、視覚、まなざし、見やり、見定めるものともいう。これを言い換えるには、まつげや眉、まぶたや額の太陽、月、盾、ガラス、宝石、石と呼べばよい。耳は、聞く器、聴覚ともいう。これを言い換えるには、聴覚の土地、あるいは大地のいずれかの呼称を用いる。また、比喩をさらに展開するなら、聴覚の口、通り道、視覚、目と呼ぶ。

口を言い換えるには、舌や歯、言葉や歯茎、唇などの土地や家と呼ぶ。比喩をさらに展開する場合には、口を船、唇を舷、舌を櫂や舵と呼ぶ。歯は時に、言葉や口や舌の石や岩礁と呼ばれる。舌はしばしば、言葉や口の剣と呼ばれる。ひげは顎ひげといい、唇に生えるものは口ひげ、頬ひげという。髪は毛ともいい、女の髪は長髪という。毛髪も髪の呼称である。髪を言い換えるには、頭蓋や脳蓋や頭に結びつけて、森、あるいは木のいずれかの呼称を用いる。ひげは顎や頬や喉に結びつけて言い換える。

86

心臓は心の臓ともいう。これを言い換えるには、胸や心に結びつけて、穀粒、石、リンゴ、木の実、玉などと呼ぶ。また、心の家、大地、岩とも呼べる。胸を言い換えるには、心臓や息や肝臓の家、囲い、船、活力や心や記憶の土地と呼ぶ。心は、思い、情愛、愛、恋心、意志、願いともいう。心を言い換えるには、女のトロルの風と呼ぶ。その際、どの女の名を選んでもよい。また、巨人の名を挙げ、その妻、母、娘に結びつけて呼んでもよい。心はまた、気持ち、好意、活力、気力、意欲、記憶、知性、気質、性根、誠実さともいう。また、心は、怒り、敵意、憎悪、残忍さ、災い、悲嘆、悲しみ、悪い気性、激情、軽薄さ、不実、気力のなさ、浅はかさ、厚かましさ、冷酷さ、落ち着きのなさともいう。

87

手は、たなごころ、腕、大きな手、獣の前足とも呼べる。手には、肘、前腕、手首、関節、指、親指とほかの指の間、手のひら、爪、指先、手の縁、爪の下の肉という名の部分がある。手は、武器や盾の大地、肩や袖や手のひらや手首の木、金の指輪の大地、隼や鷹の大地とも呼べる。鷹のあらゆる呼称を用いてよい。また、比喩をさらに展開するなら、肩の足、弓を屈服させるものとも呼べる。

足は、足の裏、足の甲、足先などの木、道や歩みや足取りの走る槍と呼べる。足を、それらの木や柱と呼んでもよい。足は、スキーや靴や脚衣に結びつけて言い換える。足には、腿、膝、ふくらはぎ、骨、すね、足の甲、足の外縁、足の裏、足の指という名の部分がある。これらすべてに足を結びつけ、木と呼ぶことができる。また、足を帆柱や帆桁とも呼び、これらのものに結びつけて言い換える。

88

言葉はまた、言、言い回し、弁舌、話、語り、罵り合い、言い争い、歌、呪歌、朗誦、おしゃべり、震え声、ざわめき、雑談、喚き声、喧騒、口論、嘲り、しつこい言い立て、自慢、称賛、無駄話、愚かな話、愚かなおしゃべり、たわごと、大声の放言ともいう。また、声、響き、声の調子、反響、ざわめく音、叫び、轟音、鳴り響き、轟き、唸り、砕ける音、どんという音、ぴしりという音、足音ともいう。

知性は、知恵、思慮、理解、記憶、考え、思考力、数に明るいこと、先見の明、機知、弁舌の才、才覚ともいう。また、下心、策略、奸計、裏切りの企てともいう。

89

ラーティには二つの意味がある。ラーティは声をいい、また振る舞いをいう。振る舞いをいうエージは、不機嫌も意味する。レイジも二つの意味を持つ。レイジは人が悪い気持ちでいることをいい、また船や馬につける装具をいう。ファルも二つの意味を持つ。ファールは怒り、ファルは船である。このような語を人々は盛んに用いて、意味を隠した詩を作る。これをしばしば「明白すぎる表現」と呼ぶ。

人の体で骨と骨が接するところをリズと呼ぶ。リズは船をいい、人々をいい、また人がほかの者に力を貸す、その助力もリズと呼ぶ。リーズはビールをいう。フリズは垣の開き口をいい、また雄牛をフリズと呼ぶが、フリーズは斜面である。こうした意味の違いを詩に取り入れ、「明白すぎる表現」を作ることができる。それまでの詩句がまず示唆していると思われる意味とは別の意味を取らねばならない場合、理解するのは難しい。このほかにも、多くの異なるものが同じ呼称を持つ語は数多くある。